1999年(平成11年)2月10日

No.65

銀座一丁目新聞

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ゴン太の日記帳 (30)

目黒 ゴン太

 小学校の頃、うちの家族は、自分の同級生の両親の中で、山登りが好きな人達に誘われて、度々山登りに行った。その時の思い出と言えば、キザな振りを気取るでもなく、正直に、空気がウマいとか、空がデカイ等というありきたりのものでしか残っていない。そして、つい2週間前に、ニュージーランドに来て、又、その頃、自然の中に放り出された幼少の頃の記憶が、鮮明によみがえった。ごくごくありふれた感想の…。

 街のド真ん中に有る、大きな公園の中の遊歩道を時間をかけて、ゆっくり歩いていると突然、大きな風が吹き、ふと見上げると、大きな大木が無数に、前に有り、しかし、密集ではなく、バランスよく、ちょうど良い間かくで立っている。その間かくのおかげで、入ってくる光のここちよさを感じて、久し振りに、どこか帰るべき所に帰って来れた気がして、とてもうれしくなった。

 うれしくなった後、1人考えた。やはり、日本はキツイ所だと。人の数、これが、自分にとって、日本が住む為には、大変厳しくしている原因に思えて仕方がない。この様なことをグチッても、どうしようもないのだが、都会と呼ばれる所にいると、自然と触れ合う時間は、極端に少ない生活が続く訳で、しかも、人の密度は、異常に高く、ストレスが大変にタマってしまう。人、一人が本当にリラックスできるだけのスペースだとか、自然が豊富に、又、身近に有るこの国とは、大きな違いが、それぞれの国に住む住人に、生まれている気がする。人々の活き活きとした表情やゆとりある明るさが、毎日、1人1人が、どこかで、心の洗濯をしている証拠であると思う。

 

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