2002年(平成14年)3月1日号

No.172

銀座一丁目新聞

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茶説

イラク攻撃は避けよ

牧念人 悠々

 アメリカはどうもイラクを攻撃するように見えてしょうがない。「悪の枢軸」の一国であるのは認める。「平和的に解決したい」という気持ちもわかる。しかし、衣のしたに、鎧がみえかくれする。
 アフガニスタンに展開していたドイツの特殊部隊が一月中旬、クエートに移動したとか、すでに、クエートには8000人の米軍が駐留している。また、少数の陸軍特殊部隊が派遣された模様といった報道(国防総省は否定)を見ると、アメリカは「やる気だな」と早とちりしかねない。
 また、TV解説者が「すべての選択肢がテーブルの上に載せられた」と言う発言は「イラク攻撃をやる」ということを意味するといえば、そんなものかとも思う。世の中が戦争に鈍感になっているような気がしてならない。世界が戦争黙認の方向へ流されているのではないか。文明の英知とそんなものではあるまい。
 阿川弘之さんはその著「井上成美」で次のような井上語録を紹介する。
 「国が危急存亡の淵に立たされて、もはや凡百の政策も役に立たぬ、国家の基本となる独立保持のためギリギリ何とかせねばなぬ、その瀬戸際に立ち上がるのが軍隊の使命だ。失政の糊塗策として国軍を使うとか、満州事変のように為政者の野心やミエで国軍を動かす、これは罪悪だと考えた」
 政治家が軍隊を使うのは、失政をごまかすためであったり、野心やミエのためだったりとするらしい。そうだとすれば、ブッシュ政権の動向を注目せねばならない。
さしあたり、「エンロン疑惑」が考えられる。経営が破綻したエネルギー大手エンロンに対する政界捜査がどこまで及ぶか、国民は注視している、その目をそらすには「戦争」は絶好の機会である。そこで「イラク戦争」か−これは下種のかんぐりかもしれない。
 アメリカはまだ瀬戸際に立たされたわけではない。まだまだ外交の余地は十分ある。世界最強の兵器と軍備をもつアメリカはいつでも、戦争をしかけることができる。今はオサマ・ビン・ラディンとそのテロ組織との新しい戦争中である。先ずこれをかたづけるのが先決である。両面作戦は命取りになりかねない。その言葉通り「外交努力」を粘り強く展開するのを願う。

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