2002年(平成14年)3月1日号

No.172

銀座一丁目新聞

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安全地帯(2)

−過疎化に悩む町−

−真木 健策− 

 ともかく、過疎化現象が相当にひどい。都会に住む人の想像を絶する。静岡県磐田郡水窪町の場合について説明する。
 この町は、長野、愛知の県境の山間部にある。JR飯田線水窪駅と向市場駅の二つの駅がある。浜松市から車で約一時間半で着く。水窪川に沿って山会いの狭い盆地の中心地に町並みを形成している。
 四季折々の風景が楽しめる山王峡、民族資料館、カモシカと森の体験施設、野鳥の森、オートキャンプ場、夜を徹して繰り広げられる古代の舞の西浦田楽(旧正月18日)行事、商店では名物コンニャクや特産品をいかしたトチの実で作られた各種菓子、トチもち、手づくりのそば、シイタケなどが売られている。
 町当局も観光客の誘致に懸命だが、訪れる人も少なく、旅館、商店街はさびれる一方である。
 昭和30年年代、人口約1万人あったものが、現在は3700人余しかいない。少子高齢化に加えて企業らしい企業がないので、若者は都会へ出てゆく。一家で見切りをつけた人もいる。
 昔は林業の町として杉、ヒノキなどの木材搬出が盛んであった。木材景気にわき、「木一本売れば、町議選に立候補できた」という話もあったほどである。それが昨今では木材の単価が安く、売る林業家もなり、買うほうも伐採、搬出に費用がかかり採算があわない。それに需要減もあって林業は衰退の一途をたどっている。
 町もほっておくわけにもゆかず、豊富な木材を使ったログハウスの売り出しや木材の有効活用の方法などを模索している。最近は関東地区に住む町出身者で水窪会を発足させて、町の発展に一役買ってもらおうと、それなりの努力をしている。
 町の発展には道路が欠かせない。今建設されている三遠南信自動車道に町民は大きな期待をよせている。この道路は長野県飯田市山本を基点とし同市上久堅−喬木村−南信濃村−水窪町−佐久間町−愛知県鳳来町−静岡県引佐町−三ヶ日町に通じる約100キロに及ぶ。一般国道で、将来は四車線になる。すでに、一部に橋、トンネル、幅広い道路が完成している。
 町は隣の佐久間町との合併も進めているが、町発展のかぎは町民自身のアイデアと挑戦する気持ちにかかっている。他人ませではどうにもならない。

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