2001年(平成13年)12月10日号

No.164

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(33)

-手帳

芹澤 かずこ

 

 仕事に就いたばかりの時、お祝いに皮の表紙がついた大きめの手帳を頂いた。いかにもキャリアウーマンになったみたいで、始めのうちは嬉しくて持ち歩いていたが、私のように外回りではなく、殆どが机上勤務の者には重いだけの物になった。仕事の予定よりも週末や退社後の予定の方がはるかに多い。遊びに出掛ける時の小ぶりのバッグにも入るような、普通サイズのものがやはり望ましい。それでないと、わざわざ手帳を二つ持つことになってしまう。
 今、使っている手帳は銀行で貰ったものだが、見開きで16センチ四方の小ぶりで薄いのが何よりいい。薄いといってもページ数が少ないのではなくて、紙の材質がやや薄いだけである。
 私にとっての手帳は、なんでも書き込めるメモ帖も兼ねるので、余白がたくさん欲しい。それも毎月のカレンダーのところにもあるのが望ましい。この手帳はそれを満たしている。その日、その日の予定は曜日の欄に書き込むが、行き先や催し場などの住所や名称や最寄りの駅など必要なことを同じページの余白に書いておく。
 電車の中で目にした絵画展の予告や本の名前、美味しく頂いたお菓子の発売元、あちこち首を突っ込んでいる友の会の会員番号、その他にも原稿のネタになりそうなふと思いついた言葉、などなど、なんでもメモるクセがあるので、余白は多いほどいい。
 新しい手帳を手にして、先ずすることは休日に赤丸をつけること。土・日・祭日が休みと決まっているが、カレンダーや手帳は土曜には印がついていない。次にすることは、家族や知人の誕生日や記念日を書き入れること。まだ夫が生きていて専業主婦だった頃は、休みよりはこちらの方が優先していた。
 夫の誕生日と結婚記念日が手帳から消えて早や14年になる。書かなければ自然に忘れてゆくものだろうが、うちの場合は結婚記念日が娘夫婦と同じであり、誕生日の方も秋篠宮さまと同じではマスコミが思い出させてくれる。この14年の間に長男、次男が結婚して記念日が二つ増え、それぞれの配偶者の誕生日に加えて、孫が二人づつ誕生し、娘のところと合わせると6人になった。
 それらの誕生日を新に書き加えながら、去るものがあれば来る者があり、人生とはよくしたものだとつくづく感じている。家族の他にも夫や私の甥や姪が14人、仲人をした3組の夫婦の節目、節目の記念日など、これからも手帳に書き加えることはますます多くなりそうである。



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