2001年(平成13年)7月10日号

No.149

銀座一丁目新聞

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横浜便り(20)

分須 朗子

 雨の季節に、ウキウキ嬉しくって思わずギュッと抱きしめたくなるものをあれこれ思い浮かべてみた。

 お義姉さん宅の長女Aちゃん(3歳)が「一緒に遊ぼ!」と誘ってくる時。シーンと静まり返った部屋の中で、それぞれが粘土作りとお絵描きに熱中している時間がとても愛しい。抱きしめたくなる空間なのだ。ついでに、Aちゃんがおねだりして入手したばかりのハムちゃんの枕を近々、ふかふかギューッとしたくてたまんない。

 生地がパリパリッと上手に焼けた時のピザ。ここのところ、ピザを作るのが嬉しい。タマネギとピーマンとチーズを刻んで、スライスしたトマト、マッシュルーム、ウィンナーをたっぷり山盛り。

 なんとなくダメダメな日の帰途、夜道を歩きながら、「このやろー、うるせー、だまれ」と心の中で叫び、ふらりと入ったラーメン屋さんで、サービスに戴いた手作りのバニラアイスクリーム。冷んやりつべたくて、ホント頬ずりしたくなった。

 今好きな歌「I DO (CHERISH YOU)」。歌詞をじっと聴いていると、今という時間を抱きしめたくなる。過ぎ去った時間を抱きしめたくなる。これから先の時間を大切に思う。

 ジグソーパズルの1ピースのベストポジションを、20分くらい考えた末に、見つけた時。そのひらめきを誇らしげに手のひらにのっけてバンザ〜イしたくなる。パズルは部屋に広げっ放しにしておいて、毎日、気が向いた時に、1ピースずつはめ込んでいくのが遅々としていて嬉しい。ちなみに、パズルは好きじゃない。
  
 抱きしめたいナンバー1は、本「十二番目の天使」で出会った言葉。
 物語に出てくるティモシー少年は、野球ができないのに、野球チームのオーディションに参加した。簡単なフライも捕れない、バットの振り方も滅茶苦茶で、周りの少年たちにひやかされながらも、いつでも明るく笑っている。このティモシー君がとっても素敵な言葉をくれた。
 <毎日、毎日、自分はどんどん良くなっている!>
 最近、この言葉を抱きしめていると、自分の頑張りや自分の存在について少しは信じられる時がある。

 頑張りの経過は目に見えない。それでも、もしも、こんな風に感じることができたら、それは、自分が頑張ってる証かもしれない・・・と思えてくる。
 「仕事の手応えはどんどん良くなっている!」とか「体調は少しずつ良くなっている!」とか「練習の成果はどんどん良くなっている!」とか「2人は少しずつ良くなっている!」とか。



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