2004年(平成16年)3月20日号

No.246

銀座一丁目新聞

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花ある風景(160)

並木 徹

女性陣のパワーに圧倒される

 文化放送とふるさときゃらばん主催のミュージカル体験塾五期生の卒業公演をみた(3月14日・東京新宿年金会館ホール)。90名の出演者のうち男性わずか13名(うち2名はキャラバンの劇団員)女性陣がくり広げる歌、踊り、タップ、オーバーアクションに圧倒された。確実に女性時代が到来したのを告げている。見かけよりは保守的な新聞社にも初めて女性の地方支局長が誕生したのをつい最近聞いた。
 演目は「ももんじゃ山風雲録」。テーマは風である。何にもない町だが、ももんじゃ颪と希望があり、この二つを軸にして物語は展開する。継続塾生が35名も出演しており、自信にあふれた演技を見せる。町に誘致される「産業廃棄物処理場」賛成派の若目田耕造(佃龍二・漫画家)そのおばあさん若目田サト(巴信子)は堂々として目を引いた。妻の初を演じた橋詰尚子は「天城美枝先生(塾長)を目標に頑張ります」といっているだけに、花があった。
 筋を追うと、過疎化を憂う公民館と母さんたちは、息子たちに嫁をと「ももんじゃ山登山ツアー」で都会の娘たちを集めて嫁探しを企画する。成立したのは一組だけで、少子化の傾向をのぞかせる。これでは我々の年金はますます少なくなると若者は嘆き、客席を笑わせる。産廃騒動では反対派の神野酒造が押す神野アキ(渡邊明希子)が勝つのだが、応援するはるな鉄工社長役の八田茂は落ち着いていてうまい。3年目の塾生だという。前年に続いて今回も蛍のシーンが出てくる。「蛍の歌」が良い。毎回このシーンを売り物にするといいと思った。関西の蛍は二拍子で光るが、関東の蛍は4拍子で光る。だから関西と関東の蛍は結ばれないという。
 そんなある日。もんじゃ山は、雨風 嵐、山崩れに見舞われる。下山する道もふさがれ、ケイタイも不通となる。閉じこめられた町の人々は力をあわせる。小屋を造り、いのししを撃って食べものとする。はては風を利用して風力発電まで考案する。その余った発電を売って町の財政を豊かにしようと言う話までになる。みんな明かる さをとり戻す。産廃騒動で仲違いしてきまずい雰囲気であった町はしっかりと絆が固まるというものである。
 今年もまた塾生の職業は多彩である。会社員が16名、OL5名、小学生10人、中学生2人、高校生3人、学生8人、主婦4人、自営業、講師、薬剤師。コンサルタントその他となっている。いつもははらはらどきどきしている天城塾長が今年落ち着いていて見えた。中心の役者をベテランにすえたのと女性パワーを信じたからであろうと推察した。

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