2003年(平成15年)3月1日号

No.208

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(7)

−42歳の新人− 

 「アンカツ」の愛称で親しまれる地方競馬の安藤勝己騎手(42)が、中央競馬でデビュー。JRAの騎手試験に合格、免許を獲得したもので、地方競馬の騎手としては初めて。中央と地方の間に大きな垣根が存在する競馬界においては、画期的な出来事だ。昨年度も騎手試験に挑戦していたが、1次試験で不合格。そのとき、ファンや関係者の中から、「あれだけの騎手に、競馬学校の生徒と同じ試験を受けさせるのはおかしい」と、試験見直しを求める声が沸き上がった。それを受け、JRAは今年度から、中央競馬で一定以上の実績(過去5年間で2回、年間20勝以上を達成)を残した地方騎手には、試験内容を一部免除するという制度を制定。今回、晴れて合格となった。42歳の新人である。安藤騎手は笠松競馬のトップジョッキー(地方競馬で3299勝)で、地方と中央との交流が図られるようになってからは、中央でも活躍していた(重賞10勝を含む190勝)。
 地方競馬との免許を同時に受けるダブル免許については、JRAが認めず、この問題を改めてクローズアップさせる形となった。これは日本の競馬史に記録される出来事だろう。それはともかく、安藤騎手本人は「中央のGTを勝つのが夢」だという。すでに高松宮記念(3月30日)での騎乗も決まっている。昨秋のスプリンターズSを制したビリーヴ(牝5、栗東・松元茂)だ。桜花賞(4月13日)で有力視されるヤマカツリリー(牝3、栗東・松元茂)の騎乗依頼も舞い込んでいるそうだ。95年の桜花賞に笠松所属のライデンリーダーで挑み、1番人気に支持されながら、4着に敗れている。その雪辱を果たしたいところだ。
 この安藤騎手について、冒頭で「42歳の新人」と書いた。というのも、2月いっぱいで騎手を引退して調教師に転進した河内元騎手(47)に比べ、年齢が5歳しか違わないからだ。それを思うと、今後の騎手生活にも厳しいもがあるだろう。騎手に定年はないが、騎手に40代は少ない。安藤が所属することになる栗東では、わずか4人に過ぎない。体力的な衰えが引退を考えさせる年代である。それが42歳での挑戦。心あるファンは、拍手をもって迎えるだろう。
 3月1日から、競馬学校を卒業したばかりの10代騎手もデビューする。だが、「アンカツ」への声援のほうが大きいだろう。ファンは馬だけでなく、騎手への思い入れも深い。競馬は人生の応援歌でもある。

(戸明 英一)

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