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並木 徹 吉岡 治さんに作詞の苦労話を聞いたことがある。 たとえば「さざんかの宿」。くもりガラスを手でふいて/あなたあしたが見えますか 情事のあと、男は所在なげにくもりガラスを拭いている。その後ろから女が「明日が見えますか」と事もなげにつぶやくのである。 血液型は男がA型、女がO型だという。 A型は、よくいえば几帳面,悪くいえば小心翼翼である。O型は、冷静なタイプだが残酷なところもある。なるほどと思う。 登場人物の血液型まで考えて作詞するそうだ。「さざんかの宿」がヒットするのも理由なしとはしない。 さざんかは秋から冬にかけて咲く。 話はつづく。 石川さゆりさんが歌う「天城越え」。 詩の中に「あなた 殺して いいですか」の詞がある。歌謡曲では「殺す」という言葉を使うのはタブーである。だから歌謡曲にはこの言葉は見当たらない。 「天城越え」でのこのシーンは浮気している亭主の旅先へ、夫人が乗り込み、亭主をおどす場面である。「殺す」の表現はタブーであっても、女の気持を表すのにぴったりである。あえてタブーをおかしたのである。吉岡さんも、作曲の弦 哲也さんも一緒に天城をこえ、実地に踏査までした。 秋。伊豆の家々の庭には、コスモスと菊などの花が咲きほこっている。 このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。www@hb-arts.co.jp |