安全地帯(451)
−信濃 太郎−
「何もなき床におきけり福寿草」虚子
正月の花と言えば元日草の名のある福寿草であろう。高浜虚子は「何もなき床に置きけり福寿草」と詠んだ。明治32年のことである。この年は面白い。福沢諭吉が「女大学評論・新女大学」を時事新報に発表、旧来の「女大学」の時世遅れを指摘し新時代の女性の在り方を説く。東京に始めたビアホールがお目見えし、年賀郵便が始まった年でもある。それから105年後に安倍晋三首相は女性の地位向上を望み、規制改革を説く。その道は険しい。
福寿草は高さ15pから25p、北海道、中部地方以北に自生し花の色は黄色である。淡紅、白、緑色の花もある。花期は2月から5月だが促成栽培されて新年の祝儀の花として売られている。
人間の嗜好は動物から植物、植物から鉱物に移ってゆくという。新年から花の事を書くとは私も嗜好がどうやら植物に移ったようである。いささか悲観していたのだが、これは別段悪くないようだ。染織の人間国宝・志村ふくみさん(90)は「植物は人間より位が高いです。無償で命を提供してくれるんですから」という。31歳から染織を始めた結論である。また「色はただの色ではなく木の精なのです。色の背後に一筋の道が通っていて、そこから何かがに匂い立ってくるんです」とも語る(平成26年12月13日朝日新聞「ひと」欄より)
植物が「人間より位が高い」とは頭に一撃を食らった気がした。実は花への嗜好は昨年10月ごろから始まった。毎日新聞で紅葉にもいろいろ種類があるのを知った。そこで12月はじめ自宅近くの府中の森公園に散歩に行き落ち葉を拾った。色々な紅葉があった。
まず、「紅葉」である。高さ15メートル。落葉高木。東北以西本州から九州に分布。葉が5から7裂する。「イロハニホヘト」の七文字からイロハモミジという。イロハカエデ、タカオモミジともいう。
ついで「イチョウ」。銀杏、公孫樹とも書く。高さ45メートルにも達する。中国原産。北海道から沖縄まで植栽されている。1690年から1692年(元禄3年から5年)日本に来日したドイツ人医師ケッペルによってヨッロッパでは化石としてのみ知られていたイチョウの生樹が日本にあるのが分かり話題になった。地理的遺存種として著名であるという。
「サクラ」も紅葉とは知らなかった。サクラモミジと言う。紅葉の時期になると木の上の方から色づいてはらはらと散ってゆく。
「ケヤキ」。 高さ30メートルもある。府中の駅前のケヤキ並木は有名だ.欅は多くの点で優れているので建築、家具,モチ臼などに用いられる。府中市の「市の花」である。
「ウメ」も紅葉である。 落葉高木、 高さ5から10m.葉は卵形,鋸歯がある。これらの落ち葉を日記帳に貼り付けた。このほか「トチノキ」、「ヤマボウシ」、「ドウダンツツジ」などがある。
さて今年も昨年に引き続いて外交・軍事を勉強しようと決心した。「反省も抱負も松の内どまり」(東京・岩崎静一さん)ならぬよう心掛けたい。
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