2014年(平成26年)8月1日号

No.616

銀座一丁目新聞

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花ある風景(531)

 

並木 徹

 

お暑うございます 一席弁じます お耳を 

 はじめてお目にかかります。私は落落亭夢の助と申します。お暑い中一席申し上げます。『おめのようなそそっかしいやつはねぇな。今のうちに治したらよかろう。それも普通じゃ治らねぇ、信心でもしろ』落語「堀の内」の主人公は、人にそう言われて堀之内のお祖師様に信心しに行くわけですが、この堀の内に着くまで大変な騒ぎ…別に「堀の内」をやるわけではございません。

 実はおかしな夢を見たのです。私の家は神道です。お葬式は神主さんに来てやっていただきます。日ごろから信心深くございませんが聖書、仏教書は暇を見つけて読んでおります。月に一度靖国神社にはまいります。それでも昨今腰を痛めるやめまいはするやでほとほと気が弱くなりました。

 見たのは「仏の国」の夢です。もっと信心しろということでしょうか。美しい高い仏塔、百段の階段がついております。その階段をみんなで駆け降る競争をするのです。私は三分の一ぐらいのところでへたばって座り込んてしまいました。終わって僧坊で宴会となり「のど自慢大会」となりました。アジアから来た仏僧の歌の上手い事、聞き惚れました。音痴の悲しさその場から姿を消しました。あとは覚えておりません。いずれも中途でダメになる話でございます。すべて中途半端に終わった私の人生そのものでございます。今後も同じだというメッセージでしょうか。

 つい最近,親しい友人の霜田昭治という男から落語家の話を聞かされました。下手な私に参考に聞かせるためなのでしょう。この男とても写真がうまくプロ級です。何回か写真展にも出品しております。外交問題も詳しい。仲間の勉強会で沖縄返還を果たした「佐藤栄作首相と若泉敬教授が後世に残したもの」を講演したほどでございます。このほど「日本の笑いが世界を駆ける」と題した三遊亭竜楽師匠の落語を聞いたそうです。竜楽師匠は海外公演を昨年は99回やり今年は120回を予定している。日本語で話し、要所でご当地のことばをさしはさむことで話は伝わるということでした。またこんな話もしました。

 「寒いですね」に「寒いですね」では会話が先にすすまない。「寒いですね」には「冷えてまいりましたね」、「この分では山は雪でしょう」とほどよく変化させて返す。これが大変宜しいといいました。

 なるほど私にはこれまでこの変化がまずしかった気がします。ということは常に話題を豊富にすべきということでしょう。持つべきは友でございます。

 話は初めの夢に戻ります。「今思っても壮観でした。たくさんの坊さんが階段を駆け降りる姿は・・・」「そうですか」。後がよろしいようで・・・