2014年(平成26年)5月1日号

No.607

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山と私

(106) 国分 リン

― 大賑いの高尾山・元朝参り ―  

 気分も新たな2014年元旦、8時30分高尾山口駅のホームは人で溢れ、大混雑であった。終日運転で年越しから大勢の人々が薬王院参拝に詰めかけ、初詣新春特別開帳大護摩供養が行われたためである。

 東京都八王子市に属する「高尾山」は、関東山地の東南、都心から約50qに位置し、都心からの交通の便にも恵まれ、日帰りでもゆっくりと山歩きが楽しめる国定公園で平成19年に富士山と並んでミシュランの三ツ星に指定された素晴らしい山とホームページに掲載され、人気の山である。

 お結びを持ち、軽いザックを背負い、8時40分稲荷山コースから白い息を吐きながら登りだした。私の連れは山登り初心者、でも長年ジム通いをして体力は大丈夫のよう、「元日に高尾山へ登りたい。」と彼の要望であった。私より快調に最初の急登を過ぎた。「早い人たちには道を譲ってね。」「足元の樹の根に注意してね。」「歩幅は細かく。」先輩振りして後ろからゆっくり、ゆっくり気持ちの良い空気を胸いっぱい吸い込みながら登る。小学生の男子とシニア女性の2人組はお互い助け合い微笑ましい。話し声が聞こえ、海抜400mの東屋に大勢の登山客が休んでいた。衣服の調整をして水分補給。ここからはスカイツリーや都心のビル群が見え、各々記念撮影。「さあ、あと90分がんばりましょう。」気分の良い尾根道を歩くと、ブルーの実をたくさん付けた龍のヒゲの群落を見つけ「あっちにも、こっちにも、きれいな実ね。」嬉しくなった。いつも可愛い植物たちに出会うと元気になれると思う。


 一度は訪れたいと思っていた秋山郷に同郷会津の仲間「ユーカリ会」の秋の旅に決定した。今まではTさんの車が8人乗りで、厚意に甘え、自分たち流の計画で実行をしていたが、今回は安全と計画の簡略を兼ねてTさんと相談してツアーで行こうと皆に呼びかけ6人で参加した。

 「この階段を上ると高尾山頂上よ。」手前にはベンチがあり休憩者がいたが、「ゆっくり登りましょう。」私は途中休憩、逆に励まされ登り、高尾山頂上(599m)11時に到着。すぐにベンチを見つけ「お昼にしましょう。」お結びを頬張った。「おいしいね。旨―い。」眼前に富士山がはっきり見えた。この場所は富士山の見える場所でたくさんの人たちがきて記念撮影をしている。さすが高尾山、人気の山だと実感した。
「お正月だから薬王院へお参りして帰りましょう。」私たちは逆コースで奥の院から、賑わう大本堂への道なので行列無しだった。「一年の無病息災と家内安全」無心にお願いした。

 山門から1号路の女坂を歩くと「たこ杉」と「開運ひっぱり蛸」の前の賑いに出た。そこから少し下り、「十一丁目茶屋」の脇の急勾配の路を見つけた。「びわ滝コースは静かで人が少ないので降りますよ。下山で怪我する人が多いので、小さい歩幅で歩いてね。」「岩がギザギザと出て急坂なのできついね。」「小さい歩幅でリズム良く歩くと大丈夫よ。」どんどん下り、階段が出てきて修行のびわ滝と神社へ到着。「ここからはもう川沿いの道であまり危険はないと思う。」歩いている人は少なく、のんびりと川沿いの道を歩くと、高尾山ケーブルカー乗り場に着き、高尾山元朝参りは終了した。

 「始めての山登りの感想はどう。」「登りは快調だが、下りが意外にきつく、先輩の歩きをもっと練習するよ。でも気持ちが良いね。」「良かった。少しずつ山登りを続けて好きになってね。」

 夏に北アルプスへ一緒に登れることを願いながら帰りの電車に乗った。