花ある風景(513)
相模 次郎
大事な「ひと言」
某日、世界遺産に推薦されている群馬県富岡市の富岡製糸場を訪ねた。早朝であって通勤通学の方々に会うと皆、「おはようございます」とごあいさつをする。住民の教育がさすがである。小生も早朝散歩のおり、お会いした方には老若男女を問わず必ずごあいさつすることを心掛けている。おかげで朝トモ(?)も出来た。しかし、ときには、ケゲンな顔の方、知らん顔の方もいる。毎朝会ってもだ。中年、特に男性はダメを通り越してどうも出来ないらしい。
新入社員のことば使いで、自分のことを目上の人に「おれ」はダメ、「ワタクシ」と。「お父さん」は「父」と。当たり前のことだが、テレビでも耳にする。注意する人もいないのだろう。悪いが団塊の世代に受けた教育で、ナントカ組合運動華やかなころで手が回らなかったのか?遅まきながら、道徳を正課は大賛成。ただ、教員教育も、しっかりお願いします。
小生の住む分譲地は周囲4キロほどあり、循環バスが15分ごとに通っている。降車のとき、皆必ず運転手さんに「お世話さま」「有難うございます」と言う。駅から遠い人は本当に助かるので感謝している。これが当たり前、日本では世間の常識なのだ。「今日は」、「ご苦労さまでした」、「すみませんでした」、「失礼します」「おはようございます」、「おやすみなさい」、「いただきます」、「ごちそうさま」等々。当たり前のことだ。
この常識が国際舞台で往々に非常識になる。先日の日本政府の武器輸出三原則を苦しい特例で、ことは急を要し、現地自衛隊は国連軍を通じ、南スーダン派遣の韓国軍(当時一人15発を保持――12/25産経新聞)へ小銃弾一万発を提供した。15発とは今の小銃では1分かからず発射してしまう。現地自衛隊とのテレビ電話で現地韓国軍からも小銃弾借用の要請との報告があり、自衛隊は国連を通じ無償で提供、23日夕刻、現地韓国軍司令官が受領、謝意の電話ありとの報告があったそうだ。韓国側は、「銃弾提供の要請はしていない」、「日本政府の公表は政治利用」、「日本に強い不快感」と否定。(12/25、26産経新聞)。ところが、韓国軍の小銃弾で共用できるのは自衛隊保有の小銃弾だけで、当然要請したいのは日本自衛隊に限るのだ。予備量確保といっても、韓国軍もよほど想定外の事態なのか、不用意だったのかは知らないが、とにかく周りが敵だらけ、緊急事態では同盟国の現地日本自衛隊より融通してもらうより仕方ないはず。でも、これでは、謝意を告げた現地韓国軍司令官は政府から怒られるのかな。いくら国連を通じた善意とはいえ、韓国政府より素直に「ありがとう」のひと言ぐらいあってもいいのではないか。日本では敵にでさえ次のような言葉がある。「敵に塩を送る」、「昨日の敵は今日の友」。タマの融通でさえこんなことでは、同盟の名が泣きますから。ま、キムチでも食べてギスギスしないで仲良くしましょうや。
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