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JR北海道の事故は日本の縮図だ
牧念人 悠々
JR北海道で事故が相次ぐ。安全に対するあまりにもずさんな対応に国民があきれている。だが子細に観察すると、これと同じようなことが日本中で起きている気がする。一概にJR北海道のみの現象とは言えない。
JR北海道の現状を見てみるがいい。北海道の人口は2013年6月現在、5451万739人で微減傾向である。札幌へ人口が集中する。市の人口は192万。しかも旭川市の35万人など9都市の人口が総人口の60%弱を占めている。ここで鉄道事業をやるのは極めて難しい話だ。過疎地域を走る路線が大半を占めるのは当然のこと。全道が豪雪地帯・寒冷地とあっては除雪や車両・施設の維持管理に膨大な経費を必要とする。経営は常に大幅な赤字となる。そこで国の政策的な配慮による経営安定基金の運用益収入などで辛うじて黒字を確保している。保線の管理などを下請けに回して安全面がおろそかになっている。そのうえ経営者、幹部がだらしない。9月24日「銀座展望台」に書いた。「幹部が現場を歩かなくなった。現場をよく見れば前日と同じか、1週間前とどこが違うか、1ヶ月前とどこがおかしいかよくわかるはずである。社員のやる気も職場の雰囲気も良くわかる。
JR北海道のレールのゆがみ96ヶ所(翌日もっと増えた)、そのうち本線でのレールのゆがみ49ヶ所と聞いてよくも大きな事故が起きなかったものだと思う。
想像力がなくなった。レールのゆがみを聞いて『大事故が起きる』と想像した幹部はすぐ補修するであろう。先伸ばしにはしない。
『たいしたことはないだろう』と事故を想像できないものはすぐには行動を起こさないだろう。日本人はいつかからこんな体たらくになったのであろうか」
東京電力第一原発の汚染水漏れにしても汚染水の貯蔵タンクを精巧に作ってあれば汚染水漏れは起きていない。誰かが手抜きをしている。「仕事を真面目にやる」“職人仕事”をいつの間にか日本人が忘れている。経営効率、人件費の抑制。人材派遣などを求めるのが当然のようになっている。そこで根本の「安全確保」が二の次になってしまっている。安全対策に目配りする経営者も少なくなった。JR北海道の経営者はゴルフをやる暇があったら現場を見て歩け。体を動かせばよい知恵も出てくる。
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