| |
「G0のテロ時代」はこれからも続く
牧念人 悠々
イスラム武装グループによるアルジェリアの人質事件は日本人の死者10名、イギリス人など外国人の死者28名を出して幕を閉じた。今回の事件は世界いたるところでいつでもテロ事件が起き、様々な国の国民が犠牲になるのを示した。関係国は手出しも出来なかった。戦争の形はテロ対自由諸国、戦場の場所はアフリカの砂漠、テロは機動性を持ち、武器も新式・多様となり、やがては核兵器を持つようになるであろうことを明らかにした。2001年の9・11とは凶行が綿密に時間をかけて計画され、手段を選ばず残酷無比であるのは類似している。場所が砂漠のプラント、大都会、さらに標的が日本、米国の違いがある。テロよる日本人の死者10名はニューヨークでの24名に次ぐ。アメリカが「世界の警察」の地位から脱落しつつある今、テロに対して国際的論議の枠組みを決め、その責任を引き受ける意志と能力を持つ国がなくなった。まさに「G0のテロ時代」に突入した。このようなテロは今後も続くであろう。
「銀座展望台」(1月21日)に次のように書いた。「アルジェリアの拘束事件で日本人10人を含む人質23人が殺害される。アルジェリア軍、テログループ32人を殺害する。
テロと自由諸国との戦争は続いている。その戦いは2001年9月11日以来であることを忘れてはいけない。
アルジェリア軍が押収したテログループの武器は機関銃6丁、自動小銃21丁、迫撃砲2門、ミサイル6基、ロケット砲2門、ロケット弾8発。しかも自爆覚悟の男たちである。いくら『人命尊重』を叫んでもむなしく聞こえる。
日本人に一番かけているのは『常在戦場』の覚悟である」
アルジェリアの国の面積は238万1741平方キロメートル、8割が砂漠である。人口3489万5000人、GDP2330億ドル(40位・1人あたり6698ドル)。経済は石油と天然ガスの輸出がほとんどを占める。新興国のプラント受注で業績を伸ばしている日揮が進出するのは当然である。アルジェリアの日系企業の進出は17社に及ぶ。今回日揮が死亡者の氏名の公表を渋ったのはいただけなかった。海外で働く企業戦士の素性と覚悟を明らかにするのは企業のイメージを高めるともにテロの非道・残虐性を暴露、世論を喚起すのに役立つ。守るべきは従業員の安全であり施設の防御であった。情報収集の不備、施設の見取り図、重要人物の会合の日時・場所などの秘匿・安全対策面に手抜かりがあった。テロの目的は捕まった過激派の釈放であったが、標的は日本人であった。今後警戒を要する。「ならず者・テロ」にはいくら声高に「人命尊重」を叫んでも無駄である。日頃から「常在戦場」で臨むほかない。 |
|