2012年(平成24年)12月1日号

No.557

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花ある風景(475)

 

並木 徹

 

「おしゃれ くいしんぼう 好奇心」
 

 知人の浜田マキ子さんから「おしゃれの大事」―女の作法(文芸春秋社刊・11月10日発行)が送られてきた。87歳の私にも意外と面白く読めた。キレイな人の共通項は「おしゃれ、くいしんぼう、好奇心」とある。昨今、好奇心を除いてとみにダメになった。毎朝ひげをそっていたのが剃らない日がある。服装も昔は靴、帽子、洋服の色を考えたものだがいまでは一向に気にかけない。食欲は落ちる一方である。これでは遺伝子が活性化しない。おしゃれはたしなみであり向上心を示す。食いしん坊は体の活発さを表す。好奇心は向学心でもある。

 『数学は美容の秘密兵器、数学の学習はおしゃれと同じ」にはびっくりした。私は日ごろから怠け癖が出るので毎日メモ帳に本日の科目「英数国漢歴史地理書道体操(木刀の素振り)音楽(レコード鑑賞)」と書いて10分でも20分でも本を開いたり体を動かしたりしている。数学は小宮山博仁さんの『大人に役立つ算数』(文春新書)などをひも解いている。ボケ防止のためでもある。本当におしゃれに役立つのかな・・・

 『形が心をつくる』章では「心も、実は形が導くといわれます。世阿彌が続けて『風姿花伝』で説いてます」という。私はどちらかと言うと「心が形をつくる」と考える方で日ごろから心を磨くことに専心すべきと思っている。だから形を見ればその人の性格がはっきりとわかる。自分の筆で書く文字を見て己の”ガサツさ”を知る。浜田さんも「書は人なり。永字八法こそ書の基本。『永』の字の筆使いにはすべての筆法が入っている」として練習して、あなたの人生の深みしかあなたの『書』を深みあるものにはできないと説いている。なるほど『人生の深み』か、生涯修行と言うことであろう。ともかくおしゃれに心がけよう。