2012年(平成24年)11月1日号

No.554

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茶説

石原慎太郎さんの辞任の意味するもの

   牧念人 悠々 

 石原慎太郎都知事の任期半ばの辞任は衝撃的であった。『銀座展望台』(1月26日)に次のように書いた。「ともかく80過ぎて事を為そうとするのは大変なことだ。年とともに気力も意欲も衰えてゆく。まさしく『最後の御奉公』である。石原新党にはエールを送る。

 無党派層が50%を超える現在、この無党派層は石原新党に流れるであろう。石原さんは選挙が早ければ12月、遅くとも来年1月と判断したのであろう。いくら民主党の輿石幹事長が選挙は『年内は無理だ』といっても民主党から9人(現在6人)が石原新党に移ればたちまち不信任決議案を出され野田政権は瓦解する。
後継者として猪瀬副知事を育ててきた。猪瀬副知事の手腕を都民は知っている。12月に行われる都知事選挙は猪瀬副知事が勝つのは間違いない(告示11月29日・投票12月16日)」

 田中真紀子文科相は『暴走老人』と表現した。暴走かどうかは今後の政治の展開によってきまる。87歳になる私の経験でいえば75歳過ぎたころから体力、気力ともとみに減った。大臣の仕事もそのころまでと思っている。石原さんの新党発足の最大の願いは「官僚による中央集権の打破」にあるようだ。13年間、都政を運営してきてガンとなったのが国の法律、規則に基づく官僚支配であった。さらに税金、補助金で縛られ見動きもできなかった。各地方自治体の長が主張する『地方分権』の根拠がここにある。戦後67年たった今、日本のシステムがいたるところで硬直して身動きもできない状況にある。この大眼目に比べれば「脱原発」「消費税増税」など石原さんが言う些細なことだというわけである。

 「中央集権打破」の一点で政党は大連合できるはずだという。明治維新の際、坂本竜馬が掲げた『舟中八策』の第一は「天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令よろしく朝廷より出づべき事」である。戦後日本は『主権在民』となったが既得権政治が横行、国民主権とは名ばかりである。それを貫徹するため『地方分権』が叫ばれているわけだ。道州制も言われだしている。

 どうであろう。日本維新の会、みんなの党など大連合は出来るであろうか。時代の流れは変革を求めている。それを推進するにはエネルギーがいる。その補助エンジンの役割を橋下徹大阪市長、渡辺喜美みんなの党代表が果たすことになれば第三極は大きく羽ばたく。その可能性は十分ある。

 石原慎太郎都知事の辞任は日本の政治に大きな一石を投じたことは間違いない。志は年齢に関係ない。青春とは志の態様である。80歳の石原さんと『船中八策』を唱えた20代の坂本竜馬とはともに青春である。非難はする人の任せておけばよい。「燕雀いづくんぞ鴻鵠の志を知らんや」。大いに期待する。