2012年(平成24年)8月1日号

No.546

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茶説

オスプレイの沖縄配備は国の大事なり

 牧念人 悠々

 戦後67年、他国と一度も戦争しなかった日本人は国を守る気持ちが希薄になってしまった。政府も国防政策を国政の最下位に位置付けている。岩国に搬入され、沖縄に配備予定の米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイは事故を理由に強い配備・搬入反対論が地元からも新聞からも起きている。これに対して政府は堂々と、沖縄への配備は日本の防衛のためであり、人道支援、災害対策などの任務のためであると、何故はっきりと言わないのか。

 日米間の取り決めによると、オスプレイの変更に関しては事前交渉の対象にはなっていない。事前交渉の対象となる装備は核弾頭、中・長距離ミサイルの持ち込みとそれらの基地建設だけである。それ以外は米軍側の自由である。配備の目的が日本の防衛のためだとあれば日本政府としても反対する理由がない、だから防衛大臣も「米軍の運用に変更がない」といわざるを得ない。それが法律と取り決めに従うものである。このことをもっと明確にすべきである。だから新聞は「オスプレイの配備は荒っぽい政治運営」と表現する。

 米国側も日本の反対運動を慮って「しっかりした事故対策をとる」と明言している。米軍とて墜落する可能性が高ければオスプレイの運用を避けるであろう。ちなみにオスプレイの事故率は1・93.海兵隊の垂直離着陸戦闘機AV8Bハリーの事故率は6・76.海兵隊全体の平均事故率は2・45である(産経新聞)。空を飛ぶ物体である以上絶対安全とは言えないが事故率を見れば安全であるといえる。

 オスプレイの日本への配備に脅威を感ずるのは中国と北朝鮮である。反対運動はそれらにくみするものである。米軍は普天間に現在配備しているCH46中型ヘリコプターが老朽化してきたのでオスプレイと更新するものである。その性能は最高速度555km/hを超える。これは高速のヘリコプターの最大速度である370km/h程度と比べても1・5倍の速度である。フェリー時の高続距離は3593kmあり、空中給由などを併用すればさらに延長できる。積載量も3倍になる。

 日本人は健忘症である。東日本大震災の際一番早く救援物資を積んで駆けつけたのは米軍艦艇ではなかったのか。津波で泥に埋まった仙台空港を重機でいち早く修復したのも米海兵隊であった。おかげでその後の復旧作業に多いに役にたったのを忘れたのか。

 新聞はオスプレイの危険性のみ強調し、何故かその配備の戦略性と必要性を説かない。問題なのは9年も前の「オスプレイの弱点」の意見書を持ちだして「墜落の恐れがある」と危険性を強調する。すでにアメリカ本土を中心に140機も配備されている。確かに配備後4回ほど重要な事故がきているがいずれも原因は究明されている。「百年兵を養う」と言う。軍備・兵力は普段から準備しておかないといざという時に役立たない。死者が出るほどの激しい訓練をする。平和だからと言っておろそかにできない。日本人は「平和を守る」ことはタダと思っている。中国が東シナ海を我が物顔でのさぼっている今日、日米同盟をないがしろにはできない。