2012年(平成24年)5月1日号

No.537

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茶説

「小澤の無罪判決」と「株価」と民主党の行方

 

 牧念人 悠々

 連合の古賀伸明会長は民主党政権の2年半の運営ぶりについて「失望と落胆に尽きるといっても過言ではない」と表明した(4月28日・連合のメーデー中央大会)。東日本大震災に対する復興のスピード感の無さ、普天間基地の辺野古への移転問題の混迷、マニフエスに掲げた公約の不履行などを見ればもっともな感想である。今回の政治資金規正法違反事件の小沢一郎元代表の無罪判決によって民主党はさらに混迷の度を深める。自由の身となった小沢さんは明らかに「台風の目」。民主党は瓦解の恐れすらある。

 『銀座展望台』(4月27日)に次のように書いた。『小沢一郎元民主党代表が政治資金規正法違反事件で無罪になった日、東証一部株価は、日経平均9561円83銭、前日比82銭高であった。専門家は小沢の無罪判決はすでに織り込み済み、市場の関心は「選挙後」にあるという。まことに気が早い。消費税法案は今国会での成立は難しいと市場では早くも織り込み始めているという(毎日新聞)。小沢無罪で最も影響を受けるのは「日本そのものだ」という見方も「小沢の責任を問う」論説も市場の波は容赦なく越えてゆく。ところで総選挙は「夏から秋にかけて実施される可能性が高い」ということらしい。総理はだれになるのか、市場の数字はそこまで教えてくれない』

 『政治とカネ』の問題は古くて新しい。検察当局はこれまで標的としてきた田中角栄元首相、小佐野賢治、児玉誉士夫、田中彰冶元代議士、金丸信元自民党副総裁などをことごとく射止めた。その情報集力と緻密な捜査に敬意を表する。小沢元代表は『謀略だ』と批判するが、捜査として標的を掲げることは決して悪くはない。「巨悪」を狙うのは使命ですらある。だが今回は少し強引過ぎたきらいがある。ひいては検察審査会の判断を誤らす結果となった。

 政権党ではお金を握る幹事長ポストを主流がとる。新聞は「脱小沢」を強調するが、小沢元代表は当然、幹事長ポストを狙う。選挙に強いとなればなおさらであろう。この国の政治は国益より常に党益を重んじ、政局を好んできた。原発再稼働問題、TPP問題、普天間基地の辺野古移転問題など政治課題が山積しているのに置き去りにされたままである。抜群のリーダーシップを持つ政治家が日本にはいないのか。英雄を待望する。“市場の数字”が教えてくれると嬉しいのだが・・・