2012年(平成24年)1月1日号

No.525

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茶説

まず自分・身内から始めよ

 

 牧念人 悠々

 恩田木工「日暮硯・木工政談」(福井昌雄編著・今日の問題社刊)を読む。 江戸中期に10万石・信州松代藩の家老であった恩田木工が、藩財政を立て直すために「勘略奉行」として取り組んだ改革の話である。木工は、一つ、自分は嘘をつかない。二つ、いったん言葉に出して決めたことは変更しないことを領民に誓った。その前に自分だけでなく家族にも親戚にも食事は飯と汁以外は香のものといえども菜をとらない。着るものもぜいたくな絹物は用いずに木綿で通す事を実行した。その結果大いに成果を上げた。時に木工37歳であった。今から260年前である。

 改革者は自ら血を流して改革に当たるのを示している。国の財政赤字700兆円を越え、年の予算も半分以上赤字国債(44兆円余)で賄う時代に野田総理は当然のごとく増税(2010年代半ばめでに段階的に消費税を10%にする)で事をしのごうとしている。家計部門の現預金823兆6637億円(2011年9月末現在)家計の金融資産1471兆1268億円(同)を狙うにしてもやることがあるはずである。恩田木工に従えば、まず節約の実践を身内からしよう。自分たちの血を流さねばならない。国会議員の定数(公約・80減)の削減が先だ。何人減らしたのか.公務員の給料削減はどのようになったか。『法案を作りましたが国会で通りませんでした』では言い訳にならない。八ッ場ダムは建設を再開した。マニフエスはうそをついていたことになる。嘘をつくほど政治不信を招くものはない。党内から造反者が出ているのも当然であろう。さらに、アメリカと普天間基地は辺野古へ移転すると約束した。日米同盟は守りますとも言った。沖縄県は承知する訳がない。この決着をどうつけるつもりか。

 増税の前に民主党としてやることはないのか、国有財剤の売却はいかがか。「国民に増税を強いるなら霞が関の各省庁の土地と建物を売却すべし」と提案した元大蔵高級官僚がいる。これぐらいの覚悟がいる。橋下徹大阪市長が人気あるのは自らの給料だけでなく,大阪府庁の役人の給料と人員を削減、無駄をなくし改革を実行したからである。時代はウソをつかない、決めたこと諮らず実行する『独裁』を求めている。すでに野田内閣の支持率は反対が賛成より上回った。これからはこの差が開くばかりであるのは目に見えている。