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毎日新聞社会部の協会賞受賞を喜ぶ
牧念人 悠々
古巣の毎日新聞社会部がこのたび、「大相撲八百長事件報道」で新聞協会賞を受賞した。社会部を去って35年。毎日をはなれて23年、いつも古巣のことは気掛かりで、嬉しい限りである。
新聞協会賞を受賞した社会部警視庁キャップ千代崎聖史記者は受賞の知らせを聞いた時、谷川俊太郎の『明日』と言う詩を思い出したそうだ。きざなことを言っているが私には新鮮な驚きであった。警視庁キャップと言えば、一ヶ月に45本の特ダネを書いた武骨な佐々木武惟さんを思い浮かぶ。そのギャップに時代の流れを感じる。
思えば、昭和30年代三原信社会部長時代「官僚ニッポン」など一連の長期連載で日本新聞協会賞をいただいた時、取材記者の一員であったが、その時はただ嬉しいと思っただけで別に詩など浮かばなかった。千代崎 記者の経歴を見るとなんと、昭和43年2月19日生まれである。そのころ私は社会部のデスクであった。鬼軍曹などとあだ名されていた。毎日の入社が平成3年である。私がスポニチの社長時代である。いま、彼の年齢は43歳。若い。私もつくづく年をとったと思う。
「常に最悪の事態に備える」は社会部記者の心がけの一つ。この受賞に傲ることなく取材にあってほしいと思う。今はどのようなことも起こりうる時代。しかも事件・問題は至る所に転がっている。気がつかないだけだ。オリンパスの所得隠しは20年来のことである。この間いつばれてもおかしくない。その兆候はどこかにあった。それを気がつかなかった社会部記者は恥としなければならない。
最後に最近、印象に残ったことがある。ある雑誌のこんなことが書いてあった。過去3000年の歴史を見ても自分の国は自分で守る気概のない国は滅んでいる。国際政治学者の計算によればこの2世紀他国の攻撃・侵略によって国が消滅したり併合されたりした国は51ヶ国に上る。200年のタームで見ると「国の死亡率は24l」と言う。今日本の国防を考えなくては24lの国になってしまう。国防にもっと関心を持つべきだ。新聞が余りにも自衛隊に関心を払わなすぎる。その象徴的な出来事は東日本大震災のさなか、4月27日当時の君塚栄治東北総監が陛下と陪食されたのを報じなかったことである。陛下が自衛隊の幹部と食事をされるのは戦後初めてである。極めて異例な出来事であった。この機会に普天間基地問題とからめて国防が社会部の取材範囲であると強調しておきたい。
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