2011年(平成23年)10月1日号

No.516

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茶説

野田政権の三原則に驚く


 

牧念人 悠々

 先輩瀬島竜三さん(陸士44期)は講演の時、話を三つに分けて話をされて分かりやすかった。商社の部長時代、長文の報告書を嫌われ、三つに分けられた簡潔な報告書を好まれたと聞いた。文章でいえば、前文・本文・結論である。内容はともかく分かりやすくなるのは間違いない。ところで毎日新聞(9月26日)に掲載された野田政権の三原則はいただけない。その三原則はつぎのようなものであった。

 @ 余計な事を云わない
 A 派手なことをしない
 B 突出しない

 総理就任直後に政権運営について側近議員らに「三原則」を指示していたという。この指示はサラリーマン社会では課長が部下に指示する程度のもの。一国の総理が指示するものではない。「安全運転」からこのような言葉が出たようであるにしてもお粗末すぎる。私が総理なら1、自分の思っていることをいえ2、派手なことをしろ3、突出しろと逆なことを指示する。それに「責任は私が持つ自由に振舞えと付け加える。その方が活気が出て、仕事への意欲もわき、良い業績を挙げられる。

 武将・黒田孝高に次のような言葉がある。
 『分別過ぎれば、大事な合戦は成り難し』

 その意は「分別も過ぎれば卑屈に落ちる。適度の遠慮は人を重厚にするが、過度の遠慮は不自然で滑稽で、結局は人間としての信頼を失う」ということである」(矢沢永一著「百言百話』中公新書」)。黒田 孝高 は官兵衛・如水と号した。豊臣秀吉の側近として仕え、活躍した。

 野田総理の頭の中には三党合意があるのだろう。野党との摩擦を極度に恐れている気配が見える。黒田如水の言を待つまでもなく『過度の遠慮は不自然で滑稽である』。逆に事がうまく運ばなくなる。この分では大事な野党との合戦は成り難いであろう。