2010年(平成22年)9月20日号

No.480

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茶説

菅直人改造内閣に難問山積 どうする?
 

牧念人 悠々

 発足した菅直人改造内閣の顔ぶれを見ると、土性骨の座った人物がいない。菅直人首相は民主党政権のこの1年を振り返って「試行錯誤の1年であった」といった。冗談じゃない。政治が1年間も間違った政策をしていては国民生活・国際関係がめちゃくちゃになる。現にそうなっている。今回は「有言実行内閣」と宣言した。目前に横たわる危機状態にある財政問題、デフレ不況、普天間基地移設問題、中国漁船による巡視船への公務執行妨害事件などの問題をどう処理されるつもりか。

 まず俎上に上るのは、尖閣諸島付近で不法操漁をした上、海上保安庁の巡視船にぶつけてきた「公務執行妨害」事件だ。悪質な事案である。これを中国メデアは「巡視船が漁船に衝突し、不法拘留した」と伝えられている。その意味で今回の事件を「海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件」と表現するのは誤りだ。明らかに中国漁船が巡視船にぶつかってきたのだから「公務執行妨害」と明記せねば事態を曖昧にするだけでなく誤解をいだかせる。さらに中国側は丹羽宇一郎中国大使を5度も呼びつけ抗議。しかも一度は深夜に呼び出す非礼な態度を示す。これに応ずる丹羽大使には「病気」を理由に断る「外交的知恵」も持ち合わせていないのか。所詮、民主党政権が選んだ民間起用の外交官である。仕方あるまい。

 年々軍事費を増やし軍備を拡大し「大国」を目指す中国は東シナ海、南シナ海の海洋権益に敏感に反応する。専守防衛の日本を眼中に置かない。中国の国際情報誌「環境時報」は「日本のような隣国には、友好だけを語るのは中国への誤った判断を招き、不十分だとして日本を制御する手段が必要だと主張している」(産経新聞・9月15日)。とすれば中国はさらに日本に理不尽な要求をつきつけてくる恐れが十分ある。

 難問は普天間基地移転問題である。名護市議選挙(9月12日)で受け入れを反対する稲嶺進市長派が定数27名中16人も当選、普天間基地問題解決へレッドカードが突きつけた。「沖縄のみなさの意向を十分聞き。沖縄の負担軽減に最大限の努力を致します」「沖縄の頭越しの決着は考えていません」と菅首相は事あるごとに発言している。このままではどうにもならない。日米同盟は口先だけになり、空洞化する。11月28日には沖縄知事選挙があり、オバマ大統領の来日が予定されている。

 菅直人首相は自分の内閣「412人内閣」とも言う。皆で力を合わせてことにあたろうという意味であろうがなぜ「俺の内閣だ」と言えないのか、リーダーシシップのない証拠である。この内閣の前途は多難である。