2010年(平成22年)8月10日号

No.476

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安全地帯(292)

信濃 太郎

棚田・里山展を見る
 

棚田学会や新生ふるさときゃらばんが主催する「心のふるさと・棚田・里山展」を見る(8月4日から8日まで・池袋・西武池袋本店)。棚田は日本の原風景である。7偕会場にまず目がつくのが棚田の写真パネル。千葉県鴨川市大山千枚田、山口県長門市油谷東後の棚田、フィリピン・コルディレラの棚田。永田博義さんの棚田の写真展である。日本画家・酒井井英次さんの棚田の絵も展示されていた。

 目玉は、ふるさときゃらばん体験塾有志のミュージカル「ホープランド」である。地球環境問題がテーマの作品。11名の体験塾出身の俳優たちが高波で沈む島から脱出、過疎の病いに悩む日本に自分たちで作った船で来航。太陽と水と土地差へあれば生きていける“あかし”を日本人に示す。汗だくの熱演であった。会場の後ろでふるさときゃらばんの演出家・石塚克彦さんが温かく見守っていた。お客さんは20名足らずであったがミュージカルとしては面白く、もう少し広い舞台がほしかった。

「たくさんの年月をへて/ながい間に/だんだんと だんだんに/せん枚に なっちゃった/んと力のある/まん足感を生みだす/いつまでも日本の原風景/だい好きな 棚田よ」(大塚雅敏・浜松市)

 いただいた資料によれば、欧米では村と言えば「人間の村」である。日本では人間に自然が加わりさらに祖先の魂が村に残り、自然の神様もくだる。欧米とは比較することができなし、日本の村が遅れているとは言えない。村の自治には自然も御先祖様も含めた自治だ。そこに「棚田の力」が生まれるという。東京農工大の千賀祐太郎教授は「今、地球危機の時代である。温暖化、食糧不足、エレルギー枯渇、生態系劣化・・・面白いことにいずれをとっても農村地域こそこの地球危機を解決する場として豊かな条件を持っている」と指摘する。

「棚田にはすべてのいのちを癒し なでいつくしむ 力がある」(鈴村直・岐阜県恵那市)