2010年(平成22年)5月20日号

No.468

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茶説

多党化時代に入る
 

牧念人 悠々

 民主党政権ができて日本もこれから二大政党の時代になるのかと期待していた。それが鳩山由紀夫首相のリーダーシップの欠如、安全保障・国防・日米同盟への理解不足による政治の迷走、政治と金問題の処理のまずさ、野党となった自由民主党との全面的対立、海上自衛艦による印度洋上の給油中断など政権への不信も重なって国民の間に不信・不安が渦巻く。折角「政権交代」を実現したのにと、国民は落胆している。民主党が昨今の地方自治体首長選挙で敗れ、無党派層が世論調査で30%から45%に増えたのもこれらのことが原因であろう。この夏の参議院選挙は民主党に逆風が吹くのは間違いがないだろう。
 民主党がこの体たらくなのに、対抗馬の野党第一党の自由民主党が良い人材を抱えながらもたつき、脱党者を出す始末である。この時代の閉塞感を打破しようと「たちあがれ日本」(衆議院議員3名、参議院議員2名)の新党が生まれた。多党化の流れは時代の底流にはすであった。2005年には今は与党となっている国民新党(衆議院議員3名、参議院議員6名)ができている。新党改革(参議院議員6名)が2008年、みんなの党(衆議院議員5名、参議院議員1名)が2009年にそれぞれ誕生した。みんなの党は党首の明るい明快な語り口もあって党勢を伸ばしている。「たちあがれ日本」からプロ野球巨人内野手、中畑清さん(56)が夏の参議院選挙比例代表に出馬する。性格は明るく愚直までに正直な男である。「たちあがれ日本」にはふさわしい候補者である。平沼、与謝野両氏も「あの明るさは政界にないタイプだ」と期待を寄せている。中畑さんはスポニチ専属の評論家である。本来なら巨人の選手は読売系のスポーツ紙に行くはずなのをスポニチの専属評論家として迎えたのは、その明るさと行動力を高評価したからである。私が社長であった平成元年12月のことであった。そのとき中畑さんはこう言った。「僕は自分を背広のプレーヤーと名付けたい。動く評論家です。記者席に座るだけでなくダックアウトやグラウンドにどしどし降りて行く評論家になりたい」。参議院議員になってもこの気持ちを持ちつづけてほしいものだ。
 多党化時代となれば政界は混迷を続けるであろう。しかしその中で政治家は「多党間の利益を調整する技術」を学び、国民意思の最大公約数を盛り込んで政策を形成してゆく努力をせねばならない。何事も反対では政治が先に進まない。日本の発展もない。
 その意味では新しく発足したイギリスの保守党と中道左派・自由民主党との連立政権の運営が参考になろう。