2009年(平成21年)6月10日号

No.434

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茶説

NHKテレビ番組に問題あり
 

牧念人 悠々

 NHKスペシャル・ジャパンデビュー第1回「アジアの“一等国”」(4月5日放送)が問題になっているのを御存知であろうか。問題というのは日本の台湾統治を誹謗するだけで日本の光の部分が描かれていないからである。また列強諸国の植民地政策という世界史的な視点も欠落している。この番組を私は見た。ひどい番組だと思った。例えば、台湾統治に力を尽くした後藤新平については「匪徒刑罰令」を制定して土匪を厳しく処断したことだけを強調していた。「あの20何年間の教育というのは、実に恐ろしいね。頭が全部ブレーンウォシュされているからね」などの発言が出てくる。出演した柯徳三さんは「日本が台湾に多くのものを残してくれたということが。…私が一番伝えたい部分でした。だがそうした発言は悉くカットされた」という(「世界を愛した日本」撃論ムック6月8日発行)さらに「NHKがこんな番組を作った背景には日台の関係を引き裂こうとする中共の意向があるのではないか」ともいう。
 新聞は産経新聞を除いて無関心のようである。これで良いのか。いささか疑問に持つ。遠慮なく他媒体も批判すべきではないか。
 第2回は「天皇と憲法」であった。立命館大学の加地伸行教授はNHKのこの番組の制作意図を「皇室否定」と「憲法第9条改悪反対」であると雑誌「正論」(7月号)に一文を寄せている。私は2001年1月30日にNHK教育テレビで放送された「問われる戦時性暴力」の番組を思い出した。この番組の素材は2000年12月・東京・九段会館で開かれた「女性国際法廷」である。被告は昭和天皇、日本国。日本国民。検事役は北朝鮮の対日世論工作員。弁護士役はいない。裁判は一方的で判決は「天皇は性犯罪と性奴隷制度の責任により有罪」というものであった。私はこのような番組が製作されることに仰天する。私が上司であるなら「ボツ」にする代物である。当時、この番組を見た上司が番組の改編を求めたのが問題となった。番組の公平・公正を求めて番組を手直しするのは当然である。世の中に不完全な番組が出るからである。今回も手直しをすべきであった。上司は見たのか、見逃したとしたら怠慢である。「アジアの“一等国”」の番組も「女性国際法廷」の番組と同じ志向と意図のもとに作られた可能性が否定できない。「中共の意向があるのではないか」と疑われても仕方ない。
 ジャパンデビューの第3回「通商国家の挫折」が6月7日に放映された。三井物産を焦点にあて「通商国家の挫折」を取り上げ、中国市場を巡る日米の対立・抗争やがて戦争となる過程を描く。今回は問題がないように感じた。番組に注文したい。近代日本とアジアの関わりの原点を探るというならば、列強に遅れて世界に出てきた日本の健気にも生きんとする美しき光の面にもっと言及すべきであろう。