2009年(平成21年)5月20日号

No.432

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(159)

―主役と穴馬― 

 「ウオッカというのは、あんなに強い馬だったのかね」ヴィクトリアマイルのレース後、競馬ファンのひとりが呆れたように感想を口にした。最後の直線コースで先頭に踊り出ると、後は後続馬との差を開くばかり。ゴールでの2着馬との差は、なんと7馬身。呆れるほどの強さだ。遠征したドバイでの不甲斐なさがあるだけに、冒頭のファンのように「あんなに強い馬だったのかね」という感想も、当然というものだ。
 このレースは、ファンをさらに驚かせた。2着に11番人気のブラボーデイジー(1枠2番)、3着にも同じ1枠のショウナンラノビア(1枠1番)が食い込んだからだ。もしウオッカが3着以下に敗れていたとしたら、どんな大波乱になっていただろうか。それを考えれば、超大穴馬券を取りそこなったファンもいるわけで、口惜しい思いをしたことだろう。
 馬券を当てることは楽しみに違いないが、配当の額が大きいほど喜びも大きいことも当然といえる。今の世の中の不景気を思えば、ファンがレースに一喜一憂するのも頷けるというものだ。そして今回は、ウオッカという馬の存在がレースを大きく盛り上げたといえる。舞台に主役は欠かせない。その主役の陰で盛り上げるのは、やはり穴馬である。
 

(新倉 弘人)