ミュージカル体験塾の第10回定期公演を見る(3月15日・東京・渋谷C.C.Lemonホール)。10年続いた体験塾の塾生による公演会もこれが最後であった。演目は劇団「ふるさときゃらばん」お得意のエコものである「SOS! 地球船」。第1回から第10回までのミュージカル公演を欠かさず見た感想は塾生たちのミュージカルに対する情熱・楽しさ・共演者たちの絆の強さであった。それはその歌から、その踊りからひしひしと伝わってきた。酋長役のビッグ 錠、マーマ役の巴信子、ジャナ役の橋詰尚子、スガル役の鈴木佐貴子はこのミュージカルの主要なパートを務めた。自信に満ちて堂々としていた。この4人は10年選手である。私なら「ふるさときゃらんばん」の「名誉劇団員」の称号を与える。出演者全員で83名。小学生3年生から70歳台まで多士済々である。職業は会社員5名、主婦5名、大学生、小学生各5名などである。受験を控えた高校生が1名いる。素晴らしい。この高校生は将来「大物」になる可能性がある。
ミュージカルは150万年の石器時代から始まる。人類が火を使うことのきっかけは火山の噴火による火で焼けた獣や木の実を食べてからだったという。人間の欲望はとどまるところを知らない。産業革命を経て人類は地球の資源を食いつくして今、地球温暖化という危機を迎える。赤道直下の「モルバル」はついに海の底に沈んでしまう。そこの人々・酋長、マーマ、ジャナ、スガルらが新しい天地を求めて船をつくり、日本にやってくる。落ち着いたのは村の人々が捨てて行った「限界集落」。日本では村では暮らしてゆけず、住めないといって都会へ出てゆく。過疎が当たり前になっている。モルバルの人々は「太陽」と「水」と「太地」があればよいという。みんなで力を合わせて作物を作れば生きていけると張り切る。農家の人々から教わりながら土地を耕し、田植えをし、森林の下刈りをする。イノシシと戦い、水車を作り発電までする。ジャナが事あるごとに「過疎は病気である」というのが村人にも納得できるようになる。農家の人々も自分たちの村里もまんざらでないと再発見する。
このミュージカルが教えるのは、物を大切にすること、みんなで力を合わせて作業をすること、技術を伝えていくことの大切さである。つまり人間の心の健全さである。現代の日本人はこの逆なことばかりして生きてきた。体験塾の公演はふるさときゃらばんと一味違う風味で観客に感動をあたえながら貴重なメッセージを発してきたといえる。
現実の地球船はどうなるのか、どこへ行こうとしているのか、心配でならない。「SOS」を発してみても誰も助けにきてくれない。我々で守るほかない。「太陽」と「水」「と「太地」があれば生きてゆけるとモルバルの人々が教えてくれた。「ホープ・ランド」の歌を歌って頑張るほかあるまい。
これでよいのか日本
軍事評論家、柿谷勲夫さん(元陸将補・防大6期)の話を聞く機会があった(常磐懇談会・3月17日・柏市、麗宮飯店)。田母神俊雄元空幕長問題以来政治家、マスコミの国防意識の欠如が露呈され、世論調査では田母神論文の支持が6割に達したと伝えられている。
柿谷さんの話も国防に対する無関心、知識のなさなどを指摘するものが多かった。まずはソマリア沖に派遣した護衛艦に海上保安庁の保安官8名を乗せたことについて。外国の海軍で海賊退治に行くのに保安官を載せてゆく国はどこにもない。おかしな話である。自衛隊にも警務隊があるのだからそれを乗せればことがすむ。まったく同感である。私は艦長に任せればよいと考える。海賊との戦いを含めて艦の内外のことについて一切艦長の指揮統率のもとに隊員たちが動く。海賊の扱いをどうするか、艦長の権限に属す問題である。アメリカのようにケニアと外交交渉して捕まえた海賊をケニア引き渡して処理してもらえればベターである。
中国の軍事費の増大について。中国の軍事費は、この20年間二桁の伸びを示している。「脅威」である。09年度の軍事費は6兆9千億円である。これには兵器開発費、兵器購入費が含まれていない。日本の軍事費は4兆9千億円である。二ケタ成長の中国の軍事費とマイナス成長の日本の軍事費の差は広がるばかりである。かって「これは脅威である」と民主党の前原誠司議員が指摘したら袋たたきにあったことがある。こんな馬鹿げた話はない。中国は空母も建造、アメリカ並みの軍事力を目指している。自分の国は自分たちで守るとう気概がなくては駄目である.
昭和28年4月、防衛大学校(初めは保安大学校、昭和29年4月から防衛大学校と改称)開校以来今年で56年を迎える。そろそろ防衛大学校出身者の校長が出てもよい。私も賛成である。軍事学も知らなければ、安全保障問題にも造詣の深くない学長の就任はもうこのあたりで辞めにした方が日本の防衛のためにも良いと思う。理屈ではない。陸軍士官学校、・海軍兵学校の校長は陸士・海兵出身者であった。
徴兵制にしたらどうか。知事のなかにも徴兵制を唱える人が出てきた。若者に団体生活を送らすことは紀律、規則正しい生活習慣、体力などを養ううえで役に立つ。いやだという人にはドイツでやっているように福祉施設で働くようにすればよい。国を守るということを理解できるだけでもよい。「敵が攻めてくれば逃げる」という若者ばかりではどうにもならない。
外国の元首が来た場合、迎賓館で自衛隊の儀仗兵による栄誉礼を受けられる。日本では天皇陛下はお受けになられない。ところが、外国では天皇陛下は外国の軍隊の儀仗兵による栄誉礼を受けられる。これはおかしなことである。日本でも栄誉礼をお受けになってほしい。私はこのことは全く知らなかった。国際貢献、国際協力、災害救助自衛隊の活躍する場面が多くなった昨今,陛下のご意志で自衛隊の儀仗兵による栄誉礼をお受けになってほしいと願う。