1998年(平成10年)9月1日(旬刊)

No.50

銀座一丁目新聞

 

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スーパーウオッチング(3)

麻根琴美

 普段は店の片隅に追いやられている商品。それが1年のうち、たった1日だけ華々しくスポットライトを浴びる日があります。

 その日は9月1日。防災の日。商品は○×製菓の乾パン。

 華原朋美のCMでおなじみ、今1番売れていると言われている「ひゅうひゅうな○の天然水」なんてなのその。“今日は私が主役よ”とばかりにお客様の一番目につく特等席へと置かれるのです。

 乾パンのお世話になったといえば、記憶に新しい神戸大震災。再びあのような災害が起きない事を祈るのはもちろん。思い出せば、災害発生時は早朝、スーパーの開店前。もし、災害が買い物客混雑している時間帯だったならば、被害は予測不可能なものになっていたでしょう。

 災害は思わぬ時にやってくるもの。いつものように試食販売を実施していたある日、こんなことがありました。

 2人の幼児を連れた御夫婦のだんな様の方が、急に激しい頭痛を訴え、その場に倒れてしまったのです。

 責任者を探すのにも、店内放送をしていただくのもひと苦労。店の対応が後手、後手でタンカを持ってくるまでなんと30分。その間、症状は悪くなる一方…。

 奥様は不安を私にぶつけ、何の権限も持たない私は、それ以上持ち場を離れることもできず、ただただ励すだけ。

 たった一人のお客様の対応にこの不手際では災害時の対応が危まれます。

 こうなった原因は不況。各企業は人員削減、リストラの嵐。スーパーも正社員の数が減少している店もあり、店内はパートさんの方が多い。お客様に何かあった時、適切な対応を取り、責任の所在を明確にする社員が、リストラの影響で少なくなってしまったのです。

 でも、ご安心ください。全部のスーパーがそんな店ばかりではありません。外来者であるマネキンも含め、きちんと避難訓練を行ない、防災管理のしっかりとした店もあります。

 そこで覚えた身を守る方法をワンポイントアドバイス。買い物途中で地震に遭遇したら、店内用買い物カゴがヘルメット代わりになります。中の物を捨て、頭にかぶりましょう。

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