2008年(平成20年)12月1日号

No.415

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茶説

小学生の暴力事件急増の背景にあるもの
 

牧念人 悠々

 小中高校で暴力事件が急増している。その数5万2756件(平成19年度・前年より18%増)。とりわけ小学校での暴力行為の深刻さが増している。その原因として自分の感情をコントロールできない。規範意識の低下。コミュニケーション能力の不足などをあげる。大人の世界と変わらない。子供のありようは大人の反映にすぎない。子供を良くしようと思えば親の生活態度を変えるほかない。今の親のなかには「地球は自分を中心として 回っている」と思いこんでいるのが少なくない。自己中心主義である、気にくわないと怒鳴ったり、物を投げたり、手を出したりする。不貞腐れて何もしないものもいる。子供はそれをよく見ている。それをすぐ真似る。「自由」のはきちがえだし、わがままというものである。「我慢する」「耐える」という大事なことを忘れている。大人になってわかることだが「成功の半分は忍耐による」。戦前子供たちはそれらをたくさんの兄弟の中で、付近の子供たちと遊ぶうちに、あるいは寄宿舎生活で学んだりするものである。集団生活では自分の感情をコントロールせざるを得ない。私の場合、中学2年生から4年間寄宿舎生活を送ったのがよかったと思っている。
 規範意識の低下は親の権威の低下と結び付く。親の権威の低下どころか失墜である。ともかく、子供の要求をすべて入れるようではいけない。「だめなものは絶対だめだ」という。理屈など言う必要はない。小学校に入学する前までにしつけをしっかり叩き込むことだ。朝起き寝る時間、洗顔など基本的な習慣を身につけさせる。そのうちの家庭がどんな状態であるかはすぐに判断できる。玄関先の靴などのはき物の並べ方、脱ぎ放っしになっているのは論外である。トイレが掃除してあるかどうかなどをみればよい。主婦の心のありようは動作・整理・整頓に現れる。実に正直なものである。ぐうたらな親は子供に偉そうなことを言わないことだ。「親を見習うな」といえばよい。そうすれば親を反面教師として生きる。新聞記者の私など事件が起きれば、家に帰らず留守がちであった。徹夜麻雀・競馬など博打をした。それでも本だけは読んだ。だから子供には「勉強をせよ」とは一度も言ったことはない。「本は読め」と勧めた。ぐれずに一応まともに成長したのは妻のおかげと思っている。「母こそ最高の教師」といわれる理由である。コミュニケーション能力について私は自信がない。人見しりする方で人と話ができない。先輩から「ニコニコニッコリ感謝しよう」と教えられてから人と話すのが楽になった。相手に合わせて話題を選べるようになった。子供の時は無口であった。親しい友人としか話さなかったような気がする。一つ言えるのは小学校でも中学校でも先生が尊敬できる人であったことだ。将来先生になる希望を持ったほどであった。今はそのような先生が少なくなったのではないか。友人の小児科の医師が今子供の病気を治そうと思ったらまず母親の生活態度から直さなければだめだといっていたが小中高校生の暴力沙汰も親たちの生活態度を直さなければその激増は防げないのではないか。