2008年(平成20年)10月20日号

No.411

銀座一丁目新聞

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安全地帯(229)

信濃 太郎

マージャン伝来100年に思う

 本年は麻雀が日本に伝えられてから100年になるという。とすると、1908年(明治41年)である。このころの世相を見ると1月、東京株式市場大暴落,現代とまったく同じである。3月,第一師団麻布一連隊の兵士32名、射撃演習過酷を理由に脱営、3月池田亀太郎(25)酒を飲んで塀の節穴より女風呂をのぞき見し風呂帰りの女性(28)を暴行致死させる、今は駅での盗み撮りが多く、電車内の痴漢も少なくない。4月、第一回ブラジル移民781人出発、4月、教育勅語、英独仏語に訳され諸外国の求めに応じる、6月、松屋呉服店はじめてバーゲンデーを開く、7月、日比谷公園夜は男女の密会所となる。これも今とそう変わらない(「明治・大正・昭和世相史」社会思想社刊より)。
 100年たった今、世相は生活様式、形、規模など様変わりしているが人間の心の在り方はそう変わっていない。麻雀は大きく様変わりしたようである。日本健康麻雀協会会長、田辺恵三さんから送られてきた同協会の会報・新聞のコピーによれば「お金をかけない、お酒を飲まない、たばこを吸わない」の「三ない」をモットーとしてきた健康麻雀が次第に普及し、特に老令化社会を迎え、「熟年麻雀教室」が中高年齢層に人気を高めている。頭の体操になるうえに仲間づくり,生き甲斐にもつながっている。とりわけ女性の参加が多いという。
 私の麻雀歴は58年になる。卓を囲んだ先輩の記者たちはすべて死んだ。麻雀そのものよりも麻雀した後のことで多くのことを教わった。毎日新聞の論説委員長、高橋武彦さんは麻雀でどんな遅くなっても翌日は午前10時には会社に来ていた。「サンデー毎日」の編集長の三木正さんは勝っても負けても淡々として帰りの電車の中で本を読んでいた。私は麻雀の打ち方で社会部員の性格を判断し、取材に活用した。
田辺さんは麻雀を通して日中友好を図り、既に日本と中国で親善麻雀大会を開催している。中国は麻雀をスポーツと認めて推進している。田辺さんの人柄は明朗でこせこせせず、何事にも積極的である。健康麻雀が脳の活性化と認知症予防にいかに役立つか、大学の先生らに調査させ、報告会を開いている。私の判断ではこのような人は麻雀が強い。

 秋深く卓を囲みて老い楽し  悠々