毎日新聞社会部で一緒に仕事をした浅井建二さんを偲ぶ会が開かれた(7月23日・パレスサイド「アラスカ店」)。5月28日、なくなった際、本人の意志により近親者だけで葬儀を済ませたので毎日関係者は殆ど知らなかった。この日集まったのは30名。さながら社会部のOB会であった。全員が追悼の言葉を述べた。夫人のえみのさんは知られざる亭主の一面を聞いて微笑んでおられた。名古屋報道部時代は事件記者として鳴らした。白根邦男君の話によると、愛知県警クラブのキャップの時、四方洋君がクラブで難しい本を読んでいると「本を読む暇があれば名刺を配って、顔を覚えて貰え」とその本を窓から外へ投げ捨てたという。四方君の話ではその本は「週刊朝日」であった。私にも覚えがある。警視庁クラブに在籍したとき仲間3人で警視庁内をぐるぐる回っていては疲れると屋上で休んで雑談していると、キャップが現れて「そこで何をしている」とどやされたことがあった。昔はそのような「鬼のキャップ」がいた。
麻雀、ゴルフ、将棋が好きであった。石黒克巳君の話。「チートイズやチンイッソーを好んで作った」。明朗で竹を割ったような性格がそのまま表れている麻雀の打ち方であった。大体、事件記者は麻雀が強い。私は大阪社会部にデスクとして1年半しかいなかったが、麻雀で社会部員の性格を判断、事件が起きると麻雀の強い記者達に取材させたものだ。
ゴルフは今年の4月5日(土曜日)の「ザ・カントリークラブ・グレンモア」(千葉県)での13人の社会部OBとのゴルフが最後となった。この日のスコアはAUT、INとも60、60でバランスのとれたものであった。本人もその日は上機嫌であったそうだ。
愛波健君は「袖ヶ浦の団地に住んでいた頃、埋め立て地によくヒバリが飛び、舞い上がる様子を好んで眺め、鉢植えの花を愛でていた」という意外な素顔を紹介した。四方君は「犬好きででかい王者の風格のある犬を抱きかかえ町並みの商店街を歩いて誇らしげにしていた。私も犬が好きです。犬好きに悪者はおりません」という。
堀井敦夫君は浅井君が鈴木俊一都知事時代、特別秘書になって以来の話をする。毎日新聞の事業、広告などに陰ながら支援した。得難い人であったとその死を悼む。享年79歳であった。
(柳 路夫) |