2007年(平成19年)11月1日号

No.376

銀座一丁目新聞

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茶説

一刻も早い給油活動の再開を望む

牧念人 悠々

 海上自衛隊のインド洋における給油活動が11月1日から中断を余儀なくされる。テロ
との戦いに参加する国際的責務を放棄する、新法成立までの「空白の期間」は日本にとっ
て「敵に後ろ向ける」恥ずかしい出来事である。給油量差し違え、守屋武昌・前防衛事務次官の接待問題に絡む国会での証言など与党に不利な情勢が起きたが、福田康夫首相との初会談でも反対の態度を崩さない小沢一郎代表をはじめ民主党の対応は遺憾というほかない。
「テロ特措法」が成立したのは01年9・11事件が自由諸国対テログループの宣戦布告なき「新しい形」の戦争と位置づけられたためであった。当時、平和と繁栄の基盤を覆そうとするテロリストを壊滅するための国際共同戦線にようやく日本も参加する枠組みができたと高く評価された。6年たった現在、この状況は変わっていない。16ケ国の参加国が6ケ国に減っているが麻薬を資金源にするテロリストの抑止力になっている。アフガニスタンではタリバンが勢いを取り戻してさえいる。米国が有志連合と始めた「不朽の自由作戦」はいまなお継続中である。新テロ特別措置法案の一刻も早い成立が望まれてならない。どうも自民党にはこの新法案を成立させようとする熱意が感じられない。
福田康夫首相には国会会期の延長や衆院再議決など重要な判断を迫られる。解散・総選挙につながる難しい決断かもしれない。党内では衆議院での再議決など無理をすべきでないとする議論も出ている。継続審議の話さえある。自民党議員の中には「国家目標喪失症候群」の病状さえみられる。
日本の国家目標の一つとして国際貢献・国際協力がある。インド洋上で給油活動する日本の海上自衛艦こそ、その象徴的な存在である。先の湾岸戦争で130億ドルの援助資金を出しながら「汗を流さず、お金だけ出せばよいのか」と一向に感謝されなかったではないか。
毎日新聞の世論調査によれば給油継続に「賛成」が48%「反対」が43%である。ここ
に国民の国家目標である「国際協力」「国際貢献」の理解の濃淡を見る。新聞の社説は「アフガニスタンの治安回復。復興を軌道に乗せるのに日本も役割をはすべきだと考える。だが…」(朝日)とくる。「テロとの戦いに参加する国際的責務を果たす」方法とその実現を説くべきだと思うのだが・・・
政権与党は常に「歴史を創る」場に立たされる。まさに正念場である。ねじれ国会では
「低姿勢」を続けなければいけないが国家目標実現のために耐えねばならない。政局的思惑に左右されることなく政治の大道を歩んでほしい。

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