2007年(平成19年)7月1号

No.364

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茶説

「恥だね・・・検察の恥だ」

牧念人 悠々

 公安調査庁の緒方重威元長官(73)が東京地検特捜部に詐欺容疑で捕まった(6月28日)。歴史に残る一大不祥事である。事件が毎日新聞の特ダネで報道されたとき、背景もよくわからなかった際、ブログでこう書いた(6月13日)。「商取引は敵も味方も無い、ドライなものということか。元長官の会社は投資顧問会社。言うなれば「ハゲタカ」である。よく言えば「経営指南役」である。その正体を見事に示したと言える。常識から言えばこの商売は邪道である。元検事の堕落である。昨年9月に設立したこの会社の前途は誠に多難である。元検事、元公安調査庁長官の肩書きは死ぬまでついて回る。その肩書きが持つ「のり」を越えないのが「恥を知る」人の当然為すべき事である。その一線を越えたらこの世は闇となる。きわめて不愉快なニュースである」この気持ちは今も変わらない。
緒方元長官が逮捕された日、ある検察幹部は嘆いた。「恥だね。検事長までなった人が逮捕される自体、検察の恥だ」(6月28日毎日新聞)。検察当局の無念さは理解できる。
逮捕される前元長官は「中央本部は在日の権利擁護の拠点。存続し続けることは日本の国益になる」「大義のためになる」とのたもうた。国益、大義を口にするのはろくな人がいない。恥の上塗りという他ない。中央本部の土地・建物を差し押さえられるのを避けるため売却先を探しているに乗じて元長官も1億円頂いたと言うからあきれる。
「武士の徳たる名誉心は利益を得て汚名をきるよりむしろ損失を選ぶ」という。ドン・キホーテは黄金および領地よりも彼の錆びたる槍、骨と皮ばかりの馬により多くの誇りを抱いたと新渡戸稲造先生は「武士道」で述べておられる。70を過ぎた元長官を狂わしたものは何か。戦前生まれだから子供時から廉恥心を教えられて筈である。「人に笑われることをするな」「対面を汚すな」「恥ずかしいことをするな」と頭にたたき込まれたのではなかったか。人間はいくつになっても欲望には勝てないものなのか。緒方元長官にお芝居を見、音楽を聴く心の余裕があれば、邪道に歩むことがなったのではないかと思うのだが・・・・

 

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