2007年(平成19年)6月10号

No.362

銀座一丁目新聞

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山と私

(33)
国分 リン

−イワウチワの花を求めて・持丸山(1365.5m)−

 踏み跡のない藪の急坂をU氏とOさんの後を、身近にある木を支えに必死で登る。目印の赤いテープを探しピークの尾根へ着く。でも笹薮が延々続き、高度も1000m位で300m余低く見渡しても登る峰が無い。誰が何の目的でこの目印を付けたのか、謎である。枯れ木に腰をかけ昼食にした。もう一度1/25,000の地図を見直し、O氏は戻ろうと藪の中30分程で113鉄塔へ、鉄塔整備路は快適に下り登山口へ着く。114鉄塔への道を暫く登ると紛れも無くイワウチワの葉を見ることができた。足の踏み場も無いほどのイワウチワの群落がある山へ、一度は様子を見に行きたくて、スポニチ登山学校の先輩で、写真も大先輩のU氏へお願いしたら、快く車を運転して現地へ案内してくださることになった。カーナビで持丸山を検索したら案内が出た。その通り車を走らせたら地図からかなり離れてしまい、五十里湖から湯西川へ向かう。結局中三依駅(野岩鉄道会津鬼怒川線)へ戻り地図に沿って細い林道をやっと登山口へ辿り着いた。
 私が鉄塔番号を確認しなかったため、歩きやすくよく整備された道をどんどん上へ楽しんで1時間ほど歩いた。鉄塔を4本目にして、最初の鉄塔113へ再度地図を確認し頭書の藪こぎをする羽目になった。ここで山のベテランのUさんはしっかり地図を見直し、鉄塔違いに気がついたのである。
 
 苔むした細い橋を渡るとしっかりとした道がある。先に登った道とは植生が違う。114鉄塔までのきつい登りを過ぎ、踏み跡がしっかりついた登山道を登ると、Oさんがあったわよイワウチワが、殆んど失望していた気分が嬉しくなり登っていくと、花は終わってしまっていたが足の踏み場も無いほどの群落である。これがピンクの花弁で一面覆われるのである。U氏が今年は雪が少なかったから早く咲き終えたね。来年また見に来よう。雪や陽気の変化で花の開花時期は難しいかもしれないが、是非このイワウチワの花の時期に訪れたい。
 
 会津西街道はようやく春のめざめ、木々もようやく芽吹きの季節、桜も庭の木蓮もいっせいに待ちかねたように咲き出している。周りの山々の緑は、数十種の色達が競っている。まるで山が笑い出してるかのようで見廻している私も、
笑顔になる。Oさんも、久しぶりの山の気を充分に楽しんだようだ。
 
 私は浅はかな案内係を深く反省した。人を誘い、お願いするのだから、しっかり調べて、地図をよく読み、理解をしてから実行する。今回のように始めての山は尚のことである。U氏やOさんに甘えてなんとかなるでは、遭難の始まりと、恐縮した。

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