2007年(平成19年)2月20号

No.351

銀座一丁目新聞

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茶説

東京マラソンは新しい波を起こした

牧念人 悠々

 東京マラソンで一番記憶に残る言葉は有森裕子さん(40)の感想であった。「沿道のボランティア、給水地点の高校生たちから応援してもらった。今までになかった新しい波を全国に起こしていくような勢いが感じられた」(産経)。有森さんにとって現役最後のレースであった。1992年バルセロナ五輪で銀メダル、1996年アトランタ五輪で銅メダルを取った。高校、大学、実業団でも目立った選手ではなかった。努力を積み重ねて勝ち取った栄冠であった。その人の言葉だけに重みがある。今回の東京マラソンの意義を十分表現している。今後の活躍に期待したい。
 参加人員3万870人。制限の7時間以内に完走したランナー2万985人、完走率96.7パーセント。ボランティア1万人余、沿道の人々178万人。何かが起こりそうな予感がする。無機質な大都会に風穴を開けそうである。連帯、絆、団結、感動、勇気を呼び起こし、人々に与える。ボストンマラソンは1897年、ニューヨークシティーは1970年、ベルリンは1974年、シカゴは1977年、ロンドン1981年。日本は一番遅く始まったロンドンより26年も遅れている。日本はやっとスタートラインに立ったところである。課題も多い。
 マラソンが人々に与える影響は大きい。私は寄宿舎生活を送った中学校時代、毎朝みんなで2キロか3キロぐらいの駆け足をやらせられた。自然と走ることが苦でなくなった。体力も何事にも粘る力が付いた。今回「スポーツは夫婦仲を深める」と夫婦で参加したランナーも少なくなかった(朝日)。沖縄から参加した両足義足の会社社長(43)もいた(スポニチ)。
 計り知れないのが東京マラソンのプラスアルフである。どこに現れるか予測がつかない。東京に活力が生まれたことは確かである。この活力が地震などの最悪の事態が起きた場合に発揮されるだろう。新しい「都民力」の出現とでもいうのであろうか。

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