2006年(平成18年)8月1日号

No.331

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(87)

―「頭突き」事件― 

  サッカーW杯でフランス代表のジダンが、イタリア代表のマテラッツィに頭突きをして処分された事件があったが、サッカーでは珍しいことだ。いや、サッカーだけではなく、プロ野球でもお目にかかったことがない。ところが、競馬では騎手が馬の鼻面に頭突きする事件が起きた。前代未聞といっていい。
 英国ストラットフォード競馬場でのことだ。7月23日の障害レースの出走前の出来事。シティーアフェアに騎乗して出場するポール・オニール騎手(26)は、スタート前の輪乗りで馬が暴れて振り落とされた。これに腹を立てた同騎手は、馬の鼻面に、ヘルメットをかぶったまま頭突きを食らわせたのだ。これには馬も面食らったようだ。馬には怪我はなく、そのままレースに出走し、4着となった。だが、事件はこのままでは終わらなかった。
 この頭突きの瞬間を捉えた映像が、BBC放送で英国全土に放映され、翌日の朝刊各紙も大きく伝えたのだ。ただでさえ英国は動物愛護の精神が強く、レース中のムチの使用回数まで制限するほどのお国柄だ。事態を重く見たHRA(英国競馬の裁決機関)は、同騎手から事情を聴き、何らかの処分を下すという。
 サッカーの頭突き事件のほうは、国際サッカー連盟(FIFA)がジダンに7500スイスフランの罰金と3日間の社会奉仕活動という処分を科した。反スポーツ的行為に該当する挑発的発言をしたマテラッツィには、2試合の出場停止と5000スイスフラン(約47万円)の罰金。国際大会の歴史に残る1つの汚点となった。一方、騎手が馬の鼻面に頭突きしたほうは汚点とはいうよりはむしろ珍事件として残るのではないか。

( 新倉 弘人)

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