2006年(平成18年)2月20日号

No.315

銀座一丁目新聞

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花ある風景(229)

並木 徹

「家政婦は見た」の現場を見た

 柴英三郎君に誘われて友人とともに彼の脚本の「家政婦は見た!24」(テレビ朝日・土曜ワイド劇場・特別企画)のロケ現場を見学した(2月9日)。場所は八王子市別所の「コルトーナ多摩 ウエデングヒルズ」。間じかに市原悦子さん(石塚秋子)にも池内淳子さん(松川茂子)にもその素顔を拝見、記念写真まで取らせて頂いた。それなりに楽しんだが、苦労性の私はライト、録音など裏方の動き回る姿に同情した。岡本弘監督が意外にソフトなのには驚いた。俳優や女優に優しく所作をささやいていた。昔読んだ本では「その品格が出せないのですか」といって主演の女優を変えたり、「あなたは役者でしょう。それでゼニをとっているのでしょう。それなら演技できるでしょう」と突っ放して、教えたりはしない監督がいた。
 この日の撮影現場は松川美津(賀来千香子・エクセレント交易の社長)邸・ホール。美津の誕生日のパーティの場である。テーブルの上のビールは私の知らない銘柄のラベルが張ってあった。大東百貨店の役員。社員出入りの業者たち。エクセレント交易の社員たちなど多数が集っていた。この人たちはエキストラである。玉座のような椅子に並んで坐っている花山栄(愛川欣也・大東百貨店社長)と美津。祝いの客たちはその前に行列して並び王侯貴族の謁見のよう。ワゴンにお祝いのプレゼントが山のように積まれている。
 花山社長がエクレセント以外のプレゼントを持ってきた人がいるのに大東百貨店の総務部長間宮一成に怒鳴る。「バカヤロウ―そんなものが、祝いのプレゼントになるか」「今日は、美津さんの誕生日だぞ!心から祝う気があるなら、それなりの気配りがあるはずだ。お前も総務部長なら、それぐらいの根回しをしろ」愛川欣也のセリフが一本調子でないのがさすがだと思った。ちゃんと社長としての抑揚を心得ている。
 悦子さんの家政婦秋子が秘書の春香とささやく場面が幾つか撮られた。カメラが写し終えたあとでも悦子さんは後片付けをする所作をやめないのに気がついた。「残心」の所作をする。無意識かもしれないが私には貴重な動きのように感じられた。展開されるドラマは興味深々。美津の母親茂子が意外とポイント的な役割を果たす。また役員会で社長を解任される花山社長と美津はどうなるのか、この間、秋子はどんな活躍をするか楽しみである。放映は3月4日(土曜日)午後9時から。

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