1998年(平成10年)6月1日(旬刊)

No.41

銀座一丁目新聞

 

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ゴン太の日記帳 (7)

目黒 ゴン太

 ついこの前、二十歳になったばかりの様な気分だが、いつ間にかと言うべきなのか、アッという間にと言うべきか、もう1年が経とうとしていた。以前より確実に時間の経つスピードが速くなっているように感じている。しかし、どんなにスピードが上がった様に感じたとしても、当たり前のことだが、その年ごとに年齢を重ねて行く訳である。ここ数年は、誕生日が近づく度に、子供の頃感じた、ウキウキ、ワクワクした感情はなくなり、自分の未熟な点を、改めて考えてしまい、もっと成長してゆかなくてはと、自分に言い聞かせるという。なにか、1年の中の、自分にとっての反省会のようになってしまっている。

 未熟な点としたが、ここに全部挙げることは、あまりにも多すぎて不可能に思うが、自分が、今一番に改善すべきだと思う点は、「他人と比較することで、自分を納得、安心させること」である。少し理解しにくい表現なのだが、要するに、容姿、様々なものに対するセンス、物事に対する理解力、頭の回転の早さ等の善し悪しを、自分と比較して、自分の位置を再確認することだ。大抵、そんな時自分の頭の中で流れている言葉と言えば、「まあ、あんなヤツがいるんだから、俺はまだまだ大丈夫だ」。

 何とも、馬鹿馬鹿しい行動なのだが、やめようと思っても、気付くと心の中で念仏の様に上の言葉を唱えてしまっている自分がいる。自分の基準で好き勝手に優劣を決め付けて、喜んでいる所も嘆かわしいのだが、何より、そんな下らないことで、自分を安心させないとやっていけない。自分の自分に対する自信の無さが、たまらなく嫌だ。小さい時から、母親に、ずっと言われ続けた。自分は自分、他人(ヒト)は他人(ヒト)、と言う言葉があったが、未だに周りばかりキョロキョロして、自分の足元を見れずにいる様だ。直すといって、簡単にいくものでもないが、そろそろ、周りに合わせたり、流されもせずに、自分流を見出し、自信を手に入れたいと思うのだ。

 

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