2005年(平成17年)7月10日号

No.293

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茶説

テロ、明日は我が身なり

牧念人 悠々

 ロンドンで同時爆破テロが起きた(7月7日午前8時50分・現地時間)。300人を超える死者、負傷者多数を出した。通勤時の地下鉄の乗客を狙った点は日本の地下鉄サリン事件を思い出す(平成7年3月20日・死者11名、負傷者5000人)。日本はテロに対す認識が鈍い。諸外国は敏感に反応する。アメリカはオウムをテロ団体と指定し、サイバーテロに対する防備を固めた。中国の二人の軍人はこれからの戦争は国家対国家ではなく、国家対テログループとなるとサリン事件の2年後に指摘し警告する。不幸にも平成13年の9月11日ニューヨークで起きた同時多発テロは3000人の犠牲者を出し、新しい型の戦争を実証した 。犠牲者を出した国籍は80ヶ国に及ぶ。9・11事件は自由諸国対アルカイダ系テログループの戦いであり、それが現在まで継続されている。イラクでは毎日ようにテロが起きている。ニューヨークがそうであったようにロンドンもまた予想されていたにもかかわらずテロには無力であった。テログループは大都市を隠れ蓑として日と時間と場所をを選び無差別に攻撃を仕掛ける。テロ撲滅のためには市民の協力が欠かせない。テロの動きを早く知る立場にいるのは市民である。日常と違った人間の動きがどこかに現れる。爆弾製造、近所との付き合いの様子、人の出入りの異常さ、気をつけてみればおかしなところが見えてくる。日本とて「明日はわが身である」。「常在戦場」の心がけを訴ったえたい。
 この戦争はテログループの自由諸国への挑戦である。産経新聞のワシントン特派員.古森義久記者はテロの邪悪性についてこういう。「個人の自由や平等、国家の合理性、近代性などを規範とする文明社会の基本を破壊して独自の狂信的な宗教支配を世界に広げようという現代世界への挑戦である」(7月8日)今回のG8会議はアフリカの貧困問題や地球温暖化問題を討議する。このG8会議に照準を合わせたテロはその邪悪性をより一層鮮明にしたといえる。
 人間は残念ながらのど元を過ぎれば熱さを忘れる。アメリカでさへ9・11から4年たった今、イラク戦争を疑問視する国民が50パーセントを超えた。テロとの戦いは長期戦である。生易しいものではない。戦う意思を失ったものが敗者になる。テロは自由諸国へ絶えず矛先を向ける。テロに同情は禁物である。断固戦う以外に道はない。

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