競馬徒然草(11)
−西高東低−
「西高東低」という気象用語が、競馬の世界でも使
われるようになったのは、いつごろからだろうか。関東馬に比べて、関西馬のほうがレベルが高く、層も厚いのである。その理由の1つとして、馬主がいい馬を関西の厩舎に預けるからだ、といわれる。馬の育て方(調教・管理)が優れている、だから馬を預けるなら関西に、というわけだ。この傾向はいつまで続くのだろうか。
さて、4月・5月は、競馬の世界はクラシック・シーズン。まず、4月13日。3歳牝馬による「桜花賞」(GT・阪神・1600)。昨年の2歳時にナンバー1といわれたピースオブワールドが骨折したため、俄然、混戦模様。穴党ファンには喜ばれそうだ。関東のファンにとっては、関東馬の食い込みに期待のかかるところでもある。
その関東馬では、まず、マイネヌーヴェルが挙げられる。3月22日の「フラワーカップ」(GV・中山・1800メートル)を勝ち、出走権を獲得したことで、「桜花賞」への出走を決めた。昨年の時点では、目標を「オークス」(5月25日、東京)に置いていたが、予定を変更した。鋭い末脚が武器だけに、馬群に包まれない外枠なら、一気に差し切るシーンが見られるかもしれない。だが、阪神のコースはゴール前の直線が短く、追い込み不発もあり得る。枠順は外側のほうがいい。
関東馬では、チューニーにも期待がかけられる。2月22日の「クイーンカップ」(GV・中山・1600メートル)では、不利がありながら、中団から鋭く伸びて差し切った。好位置につけられる脚もあるので、脚質には自在性がある。人気にはならないだろうから、穴馬として面白いかもしれない。ついでに言えば、この馬の鈴木伸尋調教師にとって、重賞レース勝ちはチューニーが初めて。自厩舎の馬を「桜花賞」へ出走させるのも、もちろん初。厩舎開業以来のめでたい出来事だ。もし、優勝でもしたら、記録に花を添えるだろう。いや、優勝しなくても善戦健闘すれば、話題として語り継がれるだろう。チューニーの血統は、父が大種牡馬サンデーサイレンス。母はフロムビヨンドで、母系にはアメリカのGT勝ちもいる超優良牝系。3戦2勝とキャリアは少ないが、関東ファンとしての身びいきだけでなく、期待したいものがある。西高東低といわれる中で、どんなレースが繰り広げられるか、見守りたい。 (戸明 英一) |