2003年(平成15年)2月10日号

No.206

銀座一丁目新聞

ホーム
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
ある教師の独り言
お耳を拝借
GINZA点描
銀座俳句道場
告知板
バックナンバー

茶説

パウエル長官の国連発言に思う

牧念人 悠々

 パウエル米国務長官は国連安全保障理事会の外相級協議でイラクの大量破壊兵器開発を示す新情報を提示した。イラク戦争が起きると予想する私はNHKのBSテレビを6日午前3時まで聞いた。イラクは大量破壊兵器開発を進めており、生物化学兵器も大量に保持しているのは確実と思った。たしかな物証がないから何ともいえないという識者もいる。演説の行間を読んで欲しい。
 12年前の湾岸戦争終結の条件としてイラクは大量破壊兵器の完全な武装解除を義務づけられた。昨年11月の安保理決議1441号は「最後の機会」である。これをイラクは守らず、査察も表面で見せかけの協力をしているにすぎない。ずっと国連をだましつづけてきた。これからも多分そうするであろう。ブッシュ大統領が昨年1月、イラクを「悪の枢軸」と呼んだのはよくわかる。危険極まりない国である。炭疽、ポツリヌス菌、コレラ、ペスト、チフス、黄熱.天然痘などの病原体を備蓄している。それをミサイルに仕込み一発打てば都市はたちまちに壊滅する。この恐怖は日本のサリン事件を思えばよい。考えられないことが起きるい世の中である。このサリン事件にいち早く対応したのがアメリカとロシアである。日本などは平和ボケして未だに何らの対策も施していない。
 9.11以来、戦争の形態は変った。宣戦布告なく相手に一撃を与えるものになっている。テロはどのような形からでも相手国に攻撃できる。だから、ブッシュ大統領いう。「冷戦時代の抑止政策と封じ込め政策だけではもう十分ではない。これからは脅威が現実になる前に先制攻撃をとることのできる態勢がもとめられる」(昨年6月ウエストポイント陸軍士官学校卒業式の演説)
 アメリカはこの新ドクトリンにしたがって行動を起こしている。偵察衛星、通信傍受など情報収集能力が長けているだけにアメリカは国連の動きにやきもきしている。国際世論はイラクを説得すべきである。だが、その説得にも時間が限られている。戦争を好むものはいない。フセインのやり方を見ていると、そうでもない人間がいるような気もする。戦争はどうやら起きるべくして起きるようである。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp