1999年(平成11年)3月1日

No.67

銀座一丁目新聞

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ゴン太の日記帳 (32)

目黒 ゴン太

 今回の2ヶ月間のニュージーランドへの旅行ほど、目的の無い海外旅行は、今までにない。4年間の高校生活を過ごした、よく知っている街だとは言え、たった一人で住む場所も、食べるものも見つけて暮らさなければならない訳である。しかし、そんな苦労をしてまでも、日本で変わらぬ2ヵ月の春休みを過ごすより、こっちで、のんびりと過ごすほうが、よっぽど魅力があったのだ。そんな内容を、空港に降り立ってすぐに乗った街へ向かうタクシーの運転手に説明した。

 こっちでタクシーに一人で乗ると、大抵、助手席に座らされ、運転手と話すことになる。自分が乗ったタクシーの運転手は、マオリ(ニュージーランドの原住民)の男性で、年齢は、27と、思ったより若い人で、彼は、自分の訪れた理由を熱心に聞いてくれた。そして、自分の乏しい英語力を察してか、2ヶ月間、何もすることがないのなら、テレビや映画を、大量に観るべきだと勧めてくれた。

 一応、4年も留学していたから、まだテレビや映画で、何を言おうとしているか、またおおまかな内容を把握する力は、残っていたので、マオリのタクシーの人が教えてくれたように、できるだけ、家にいる時はテレビを観るように心掛けた。すると、23日で、ある錯覚のような感じを覚えた。それは、朝起きて、テレビをつけて、見始めると、まるで、日本でテレビを見ているかに思えてくるのだ。もちろん、使われている言語は、英語であるし、出演している人々も、見たこよもない人達ばかりである。では、何がそうさせるのかと言えば、一日の番組の流れと、その内容が、日本のそれと、とても似かよっていたのだ。

 朝は、子供向けアニメのオンパレードに始まり、昼は、ソープランドやみのもんた風のトークショー、夜はドラマや企画もの、映画等である。そして、中には、日本で言う“あの有名人はどこへ”というタイトルがつきそうな番組、churipu.jpg (20181 バイト)また、“嗚呼 バラ色の珍生”に非常に設定が似た、お涙ちょうだい番組が、かなりの時間枠と数とで放映されているのだ。

 だからどうしたと言われればそれまでなのだが、それまで、日本のみのくだらない番組構成かと思っていた番組ばかりが、アメリカやその他の国々(ニュージーランド含)で、更に、大げさな演出をもって、大々的に放送されていることに、少々驚きを覚えると共に大衆受けするものの差は、各国、あまりなくなっているのかなあ等と、テレビ番組一つで勝手に考えてしまうのだ。そして、自分は、こうゆう大衆受けしているものが、ひどく肌に合わないことにも気付かされる。何故なら当初、英語力upと興味本位で見ていたTVも、あまりにもくだらなすぎて、今では、全く見る気を失してしまったからである。

 

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