加藤紘一官房長官時代(1991年11月から1992年12月まで)の官房機密費の使途が明らかになった。共産党が入手した首相官邸の内部文書で、総額は収入が1億4384万円、支出が1億3574万円である(1994年「赤旗」でも一部掲載)。官房機密費(内閣官房報償費)は年間15億円程度あるといわれる(2002年度予算は14億6000万円)。首相や官房長官が領収書なしで無条件で使えるとされている。今回は10年前の機密費の一部にすぎない。この文書の内容について異論をさしはさむ向きもあるが、本物だと思う。
お金の使い方にはその人の人柄がもろに出る。しかも領収書なしである。使い放題である。人間の弱さからいくらでも悪い事ができる。一部であっても官房機密費の使い方が表沙汰になったのは結構である。官房機密費といえ税金である。納税者としては関心を持つ。税金が背広代やパーティー券に使われ、機密費扱いになるのは、どうも納得できない。交際費でいいではないか。
機密費が必要なことは認める。国政を進める上で表に出せないお金がいるのはわかる。それまで明らかにせよとは主張しない。それ以外は公表すべきである。問題なのは国会対策費である。今回分は3574万円だが、実際はもっと多いであろう。億単位の金が動いているといわれる。自民党は法案を通すために野党にいろいろな手をつかっているとよく政治部の記者から聞いた。裏金で「与野党馴れ合い」は昔からである。その裏金は、自分たちが汗水たらして稼いだお金ではなく、税金であるのを忘れている。
税制改革の方向を決める原則は、税金は安いほどよく、税率は一律がよく、ルールや手続きは簡単明瞭で不快感の少ないのがよく、悪る知恵を働かせて節税する余地のないものがよいといわれている(竹内靖雄著「正義と嫉妬の経済学」より)。これに税金の使途は公開するのがよいと、つけ加えるべきである。
この他、外務省の外交機密費から年間20億円も官邸へ上納されている。政治改革は先ず、身近なところから始めるべきであろう。
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