2001年(平成13年)8月20日号

No.153

銀座一丁目新聞

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茶説

歴史教科書、冷静な対応を

牧念人 悠々

 扶桑社発行の「新しい歴史教科書」をわざわざ買って読んだ。歴史に詳しくないせいか、たいして騒ぎ立てるほどの事はないと思った。事実が間違っておれば訂正しなければならない。史観、立場の相違は仕方あるまい。気のすむまで論争すればよい。
 代表執筆者、西尾幹二さんの話によると、全国各地の教育委員会における選択についての対応は、韓・中の抗議や在日韓国人グループ、日本の左翼団体の反対運動によってきわめて悲観的状況のようだ。あわてることはない。西尾さんが市販本の前書きで「民主社会の言論においてはすべての反論権が認められなくてはならない。われわれは日本の市民社会に本書を静かに提供する。これがわれわれの反論であり、愚かな批判をむなしくする有効なカウンターパンチである」といっている。機会あるごとに、この本のPRをすればよい。あとは国民の判断を待つほかあるまい。
 問題は先生の教え方だ。先生が十分研究しているか、生徒に歴史に興味を抱かせ、さらに歴史を勉強したくなるように教えかどうかである。例えば、教科書に慰安婦問題がのっているかどうか、どうでもよいことだ。中学生に戦時中の慰安婦問題を教えることはないと思うが、必要と考えれば、先生がとりあげればよい。歴史教科書は七つもある。好きなものを選べばよいではないか。更に、大切なのは、生徒に読むべき歴史に関する文献をすすめることである。柔軟な思考をするよう仕向ける指導がほしい。
 戦後、占領軍は日本を二度と軍国主義が復活しないよう教育改革を行なった。教科書から「愛国心」「英雄」「軍神」などの言葉を排除した。いまの若者に聞いてみるがいい。「敵が攻めてきたら、あなたはどうしますか」ほとんどの若者の答えは「逃げる」である。「国を守る」の答えはまずかえってこない。これもどこかいびつである。
 韓国と中国の反応は残念である。自分のところは小学校から反日教育を公然としているではないか。だからといって、両国の教科書をけしからんと、いうつもりはない。
 もともと、日本の教科書の内容を外国からとやかく言われる筋合いはない。国と国の付き合いは、お互いに誠意誠心であることが望ましい。韓国とはすでに、お互いの往来が一日一万人を超えており、中国とも同じような状況にある時代である。あまり、いきりたたず、冷静に処理してゆこう。

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