2001年(平成13年)8月1日号

No.151

銀座一丁目新聞

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茶説

原爆投下はアメリカのノドに刺さったトゲ

牧念人 悠々

 ベストセラーの「第四の国難」(扶桑社刊)の著者、前野 徹さんと雑談する機会があった。前野さんは「読者から多くの励ましの手紙をいただいている。今まさに歴史に罰されている。そのことを日本人はもっと自覚すべきではないか。反日も無日も与党も野党もない。日本人一人一人が戦後56年の反省の上に立って歴史の真実を見据えなければ、日本は歴史に断罪され、滅びてしまう」と、いささか興奮気味であった。そのさい、「原爆投下はアメリカのノドに刺さったトゲである。日本の都市へ無差別攻撃を繰り返し、非戦闘員である民間人を虐殺した事とともに許されない」とも語った。
 たしかに、日本が滅びる危険は多分にある。私は日本を支えているのは、無名の立派な人たちだと思っている。まだまだ、憂国の士はいると信じている。いざという時、かならず、立ちあがるであろう。日本は簡単には滅びない。
 前野さんの著書によれば、原爆が完成したのは7月21日(昭和20年)。トルーマン大統領はポツダム会議に出席中で、原爆実験の成功を知らされた日、日記にこうしたためている。「われわれは人類史上最も恐ろしい爆弾を開発したのだ。それは聖書に書いてあるノアとその伝説的な箱船ののちに、ユーフラテス文明時代に予言された劫火による人類の絶滅をもたらすかもしれない」
 こう思いながら、トルーマンは滅亡への引き金に手をかけた。原爆開発には20億ドルもの巨費をかけている。新兵器を使わず、戦争を長引かせたら議会や国民の非難が巻き起こる危惧もあった。ドイツ降伏(昭和20年5月7日)を契機に国内に広がっている米国民の厭戦ムードがある。日本上陸作戦ともなれば、大勢の犠牲者が出れば国民から弾劾されかねない。
 このような背景があったとしても、その年の6月18日、ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長は大統領に「日本は絶望的状況にあり、ここでソ連が参戦すれば、それが決め手となってその時点、あるいは米軍が上陸した時点で降伏すると考えられる」と分析を披露している。もはや原爆を投下する必要はどこにもなかった。
 二度の原爆投下(8月6日、広島.8月9日、長崎)で、原爆死没者の総数は29万5956人にのぼっている(厚生省調べ)。アメリカはどのようにしてトゲをぬくつもりなのか。ブッシュ政権が核実験全面禁止条約を批准しないというのは、あきれて物も言えない。
おわりに詩をささげる。


  原子ばくだん発明/加藤 仁男

  原子ばくだんを発明した
  原料は
  みかん
  かき  
  キャベツ
  りんご
  四つのくだもの
  11月30日発明した
  ためしに
  むさし山で実験した
  いっぺんでふっとんでしまった

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