2001年(平成13年)1月20日号

No.132

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(1)

-ちょっといわせて−

芹澤 かずこ

 努めて毎朝、運動不足解消のために新橋で降りて、銀座の8丁目から1丁目まで歩いているが、早や歩きでも15分かかる。今朝も晴海通りで信号待ちをしていると、向かいのビルで綱を垂らして窓拭きをしているのが見えた。

屋上から垂らした2本の綱をうまく操って少しずつ降りては、ブランコ状の板をゆすって手の届く範囲を拭いて行く。信号が変わったので、大きな1枚ガラスをふくところしか見られなかったが、おそらく下まで降りながら拭いて、また屋上に戻り、次の窓へ移行するのだと思う。大きなビルだから、何回か移行しなければならないだろう。考えただけでまどろっこしい。能率が悪すぎる。何十年か前の窓拭きとちっとも変わらない。

その上、体は命綱をつけていても、掃除道具のプラスチックのバケツは、ブランコ状の板の端にぶら下げて、ゴムベラと雑巾はただその中に突っ込んでいた。慣れているとはいえ、もし手から滑って、高い所から加速度がついて落ちてきたら危険極まりない。よく、綱が垂れている建物の道端に、通らないように囲いがしてあるのを見かけるが、万一に備えているのかも知れない。

銀座に限っても高いビルは限りなくある。ビル全体が協力して、人通りのない明け方にでも、消防自動車のようなホースを備えた散水車みたいなもので、一斉に水を吹き付けたら、効率よく清掃が出来るのではないだろうか。

かくゆう私は、ビル掃除に比べたら余りにもちっぽけな話で恐縮であるが、たった数箇所の、はめこみの網戸の掃除でさえも、わざわざ外したりせずに、庭の水まきのホースをジェット水流にして吹きつけ、網戸と窓ガラスと汚れた壁を一瞬にして綺麗にしているので、そこからの発想である。

 



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