サントリークォータリー(季刊・64)に杉浦 日向子さんと発酵学者、小泉 武夫さんの対談がでている。
小泉さんの話によると、小田原にある270年前のお宮さんの祠を改修したら天井からものすごいのがいっぱいでてきた。それを原色でコピーして送っていただいたが、なぜ天井裏に大切にしまってあったか疑問だという。
杉浦さんはこともなげにこたえる。春画は天井裏や倉に必ず保管することになっていて火事除けのおまじないになっていた。なぜかというと、濡れるからだそうだ。杉浦さんの話はさらにつづく。武士は鎧櫃のなかにもいれておいた。敵前に行ってもなえず、奮い立つことができるからだと説明する。
小泉さんは、江戸人は環境問題、エネルギー問題、健康問題、食糧問題の四つをすべて解決していたというので、江戸学は21世紀へのバイブルになるといっている。
スポニチの社長時代の平成4年の年頭のあいさつで江戸をその年のキーワードの一つにあげた。江戸時代の庶民のエネルギーを重視したからである。
同誌には甘酒が夏の季語とある。俳諧歳時記(新潮文庫)を開くと、次の句があった。
甘酒を煮つつ雷聞ゆなり(矢田 挿雲)
石井 良助著「新編江戸時代漫筆」にも面白い句がある。
五日より五日迄なり下女の恋
出代りは内儀の癖をいひおくり
同書によると、江戸時代は出替奉公と年季奉公があり、下男、下女、作男は出替奉公であった。下女奉公は3月5日から翌年の3月5日と決められていた。期間は一年または半年だった。
昨年11月古本屋で樋口 清之著「史実 江戸」(全5巻)を買い求めたが、一巻をひもといただけである。江戸学の道は遠い。八年前に「江戸」に関心をもちながら一向にはかどらない。それでも分かりやすいところから、ゆっくり学んでゆこうと思っている。
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