2000年(平成12年)5月10日号

No.107

銀座一丁目新聞

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花ある風景(22)

並木 徹

 

 東京・府中に自宅があるため、休みになると、運動をかねて競馬場に足をはこぶ。かって警視庁記者クラブに在籍したさい、警視庁のさる課長から馬の走るタイムを重視した馬券の買い方を教えられてからやみつきとなった。競馬暦は50年になる。

今年の成績は全敗といってよい。賭ける金は2万円をこえることはない。ささやかな趣味である。春の天皇賞(4月30日・京都・11レース)を試みた。

2−3 2000円2−5 5000円5−9 3000円の馬連の馬券をかった。2−5ときてほんの少し儲けた。

あまり検討しない。陸士時代,59期生で予科が23中隊であったので、5−9,2−3、の組み合わせが好きである。また1925年8月31日生まれなので、1−3、1−9,2−5の組み合わせも買う。レースはこれらの組み合わせがきそうなものを選ぶ。要するにいい加減で、楽しむのである。気晴らしになるのである。

競馬場の入り口でもらったレーシングプログラムをみると、天皇賞で優勝した和田龍二騎乗のテエムオペラオーについて「テイエムは冠名。オペラは父OPERA HOUSEから。T、M,OPERA、O =MORE ATOP(さらに頂上に)。2連勝の勢いに乗って、このG1オペラで主役の座に駆け上がりそな気配」としるしてあった。2着になった武豊のラスカルスズカは「スズカは冠名。ラスカルRASCALは悪漢,曲者.RASCAL RASCALという超男勝hana1.GIF (28905 バイト)りの祖母の名から。悪漢の勝利の圧巻のシーンを見てから熱燗の杯を味わいたい」とある。このしゃれた説明を書いたのは『英文学者 柳瀬尚紀}と署名があった。

賭け事にはその人の人柄がにじみ出る。自己分析すれば、なによりも淡白であるのは間違いあるまい。感はいい方である。それも年とともに鈍くなってきた。

今年の天皇賞の売上は228億6843万9200円。昨年より33パーセントの減。過去最高であった平成9年の453億1664万8800円に比べると約半分である。不況がいかに深刻であるかを物語るとともに庶民の楽しみ方も多様化したことを示しているように思う。

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