2000年(平成12年)2月20日号

No.99

銀座一丁目新聞

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花ある風景(14)

並木 徹

 日本映画がやっと元気になってきたようだ。昨年一年間、映画をみたお客さんは延べ一億5千万人、映画館も3000館近くになった。第54回毎日映画コンクールでスポニチ新人賞をとった塩田明彦監督は5年前は食うや食わずの生活で世田谷区役所から5万円の税金の滞納で差し押さえを食らったが、やっと食えるようになった。この新人賞を区役所に持っていってみせたい気持ちだと喜びを素直に語った。大賞と映画フアン賞は「鉄道員(ぽっぽや)」であった。この映画を[滅私奉公を表現している」と激賞した私としてはうれしい限りである。

 監督の降旗泰男さんが「大泉の撮影城所の片隅で中年の男たちが怒り、不満、あきらめをぶつけるものを作りたいなあという熱い思いを語り合ったのがこ映画の始まりでした。スズランしかし、はじめは孤立無援でした・・・」と裏話を披露した。映画は水もの、あたるか、あたらないか先見性のある映画人だけしか判断できない。興行収入が42億を超えるというからたいしたものである。

 女優主演賞の大竹しのぶさんは「降旗監督はもの静かな方でとてもやりやすかった。監督からそこで健さんに抱きつくんですといわれ、健さんに抱きついたら棒のようでした。健さんが棒か、棒が健さんかわかりませんが・・・」と挨拶した。妻を演じた大竹さんにしてみれば、その棒は[滅私奉公」というかたくなで頑固な心棒だったといいたかったのであろう。あとのパーテイで映連会長の岡田茂さんが[この秋にいい映画がでがきますよ」と語ったのをうれしく聞いた。

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