2010年(平成23年)2月10日号

No.494

銀座一丁目新聞

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安全地帯(311)

安  本丹

私たちのフルムーン

 


 私たちは、現在私が85才、妻が82才、計167才の終期(末期?)高齢者夫婦である。昭和55(1980)年より平成18(2006)までは勤めが学校関係であったので、夏休みには毎年2〜3週間(走行距離4000〜5000`)、時には大型フェリーを利用して、日本全国ドライブ旅行をしていたが、定年もとっくに過ぎ年齢とともに鉄道旅行に切り替えざるを得なくなった。

 そこで年中行事の旅行にはJRフルムーンパスを利用することにした。毎回、目玉の観光を考え、偶然に祭り,珍名物・珍事件にも会ったりして、夫婦喧嘩をしながら日本国中を周遊している。3年前までは12日間のセットで6日間は日本西部、6日間は東・北部のコースであったが、何しろ体力・気力・財力の衰えはいかんともしがたく奥方の要請で昨年、7日間コースにせざるを得なくなった。その上、宿泊の条件として到着は余り遅くなく、タクシー代節約のため駅の近く、清潔、宿泊代はほどほど、食事別(外食の方が自由で安い)で、休養のための大風呂あり、できれば温泉、ひざが痛いので洋室、近所に地物のおいしく食事のできる居酒屋、ファミレス・コンビニがあるという、まことにもって難しいご注文である。当方は旅行へ行きたい一心で出来もしないインターネットで何カ月も前から悪戦苦闘、プランを作成するが、なにしろ、フルムーンは一人では行けないし、金主元である奥方の有形無形の都合も聞き、訂正に訂正を重ね、ご裁可が降りるのに数カ月はかかるのである。特に今年は東北・九州新幹線全通のため、新青森―—鹿児島中央(上りか下り日豊本線利用)の日本縦断を計画しているが時刻表の大改正が遅れ、おまけに新燃岳の大噴火、鳥インフルエンザでどうなることやら。由布院・宮島・尾道・天橋立・城崎を目玉になんとか行ってみたいと目下、宿泊の場所を調べている。

 フルムーンパスは、JR全線(新幹線のぞみを除く)特急、グリーン車(無いところは普通車)乗り放題、われら庶民にはそれが魅力。繁忙期以外使える。夫婦で88才以上ならOK、どちらか70才以上なら5,000円、アンケートで5,000円計10,000円のおまけになる。5日、7日、12日の3種があり、料金など細かいことはインターネットで。旅行特に鉄道好きの方は、ぜひご利用を。

 昨年は10月に、せめての見納めと毎回天候不順で見られなかった北方領土と、北海道の紅葉(実は黄葉だった)と高山本線の紅葉を目玉に1週間のフルムーンになった。コースは好天に恵まれ、特急の利用14本、全行程は約5600`であった。

(行程)
○自宅―→鎌倉―→東京―→函館(泊)。
○函館―→札幌(泊)。
○札幌―→稚内(レンタカーでノシャップ・宗谷岬で遥かにサハリン‐樺太‐を見る。稚内公園では、望郷の氷雪の門、終戦時ソ連軍の侵攻に「皆さん、これが最後です。さようなら、さようなら」と打電して自決した9人の樺太真岡郵便局女子電話交換手たちの慰霊碑に合掌、涙する)。(泊)
○稚内―→旭川―→網走(駅のそばの網走川で生まれて初めて産卵のため鮭の群れが溯上するのを見る。母なる川、北海道はデッカイドウ。)(泊)
○網走―→(釧路湿原など沿線の紅葉と鶴を見る)―→釧路―→根室(レンタカー利用、納沙布(ノサップ)岬展望台から備え付けの眼鏡で千島列島の一部が、そしてロシヤの船や建物が手に取るように見える。悲憤慷慨。100円玉がいくらあっても足らぬ。) 北方領土を返せ!(泊)
○根室―→札幌―→(寝台特急北斗星-B2はツイーンの寝台個室で追加料金なし)-翌朝上野到着・・・ホテル代の節約になる  
○上野―→東京―→京都―→富山(高山本線沿線の紅葉)―→名古屋―→藤沢―→自宅      ハイ 7日間ご苦労さま。